消費税 経過措置 その1

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令和元年10月1日より消費税が増税(消費税率が8%→10%)となり、
軽減税率制度がスタートします。
そして地味ですが消費税の経過措置というものが存在します。
経過措置とは、令和元年10月1日以後の取引については原則、
新税率(10%)が適用されますが、新税率を厳格に適用することが
明らかに困難と認められる取引については経過措置が設けられており
旧税率(8%)が適用されることです。
経過措置が適用される取引は必ず経過措置を適用しなければ
いけません。強制です。
なお、軽減税率と経過措置が重複する取引(新聞など)については
軽減税率が適用されます。

代表的なものを紹介すると
・旅客運賃等の経過措置
・電気料金等の経過措置
・請負工事等の経過措置
・資産の貸付けの経過措置
・予約販売の書籍等の経過措置
・通信販売の経過措置
などが挙げられるでしょうか。

旅客運賃等の経過措置

JRなどの事業者が、旅客運賃、映画・演劇を催す場所等への入場料金を
平成26年4月1日から令和元年9月30日までの間に領収している場合で
当該対価の領収に係るサービスが令和元年10月1日以後に行われるときは
当該サービスについては10%ではなく8%の旧税率が適用されます。
例えば、従業員の通勤定期代を7月1日に6ヶ月分購入した場合には
その定期券の有効期間は、8%の税率の期間(7~9月)と10%の税率の
期間(10~12月)となります。10%の税率の期間(10~12月)に対する
差額2%分の消費税額は払わなくてもよく、全額旧税率(8%)という
ことです。

この経過措置の適用対象となる旅客運賃等の範囲は
①電車、タクシー、船舶、航空機などの旅客運賃
②映画、演劇、音楽、スポーツなど不特定かつ多数の者に見せ、
 聴かせる場合の入場料金。イメージ的にはチケットが一般販売
 されているもの、ということでしょうか
③競馬場、競輪場などへの入場料金
④美術館、遊園地、動物園などその他不特定かつ多数の者が入場する
 施設への入場料金

電気料金等の経過措置

東京電力、東京ガスなどの事業者が継続的に供給し、又は提供する契約に
基づき、令和元年10月1日前から継続して供給し、又は提供する電気、ガス、
水道水及び電気通信役務等で、令和元年10月1日から令和元年10月31日
までの間に検針などが行われ、料金の支払を受ける権利が確定するものに
ついては旧税率(8%)が適用されます。
例えば、電気代でその検針が10月25日の行われた(9月26日~10月25日分)
ものについては全額旧税率(8%)ということです。

資産の貸付けの経過措置

平成25年10月1日から平成31年3月31日までの間に、締結した資産の貸付けに
係る契約(事務所の賃貸借契約など、契約更新も含みます)に基づき、
令和元年10月1日前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている
場合において、当該契約の内容が次の「①と②」又は「①と③」に
掲げる要件に該当するときは、令和元年10月1日以後に行う当該貸付に
ついては、旧税率(8%)が適用されます。

①当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められて
 いること
②事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求める
 ことができる旨の定めがないこと
③当該契約中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることが
 できる旨の定めがないこと等

③についてはさらに要件が続くのですがここでは省略します。
解約ができなければ何かあってお金がなくても賃料を払い続けなければ
いけないということですので、一般的にはあまりないと思うので
とりあえず無視します。

事務所の賃貸借契約で考えてみましょう。
契約が平成31年3月31日以前で「①と②」の要件を満たせば
令和元年10月1日以後の賃貸借は次の契約更新まで消費税は8%分だけ
払えばいいです。①はどの賃貸借契約でも満たすことが多いと
思いますが、②は賃料本体については毎月の支払い額が明示されている
契約が多いと思いますが、契約書に賃料の改定ができる旨の定めがある
契約がほとんどだと思います。
そのような契約だと②の条件を満たさないので経過措置の適用はなく
令和元年10月1日以後の賃料の消費税率は10%ということとなります。

おわりに

経過措置は今回の消費税率引上げではじめて登場したものではないです。
3%から5%、5%から8%に消費税率が上がったときにも登場しました。
忘れたころにやってきます。
今後も消費税率は上がるでしょうから、そのときはまた経過措置が登場
することでしょう。

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