現物給与になる?ならない?

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会社が支出した費用には、「現物給与」といわれるものに該当する
場合もあります。

現物給与とは?

現物給与とは、一言でいうとお金以外で提供される給与のことです。

源泉徴収の対象となる給与所得の収入金額には、お金で収入するものに
限らず、お金以外の物品や権利その他の経済的な利益により収入する
ものも含まれることになっており、これを一般的に現物給与といって
います。

この現物給与に該当するものがあると会社は、その分に係る源泉所得税も
含めて国に納付しなければいけません。

現物給与になる?ならない?

人間ドッグ検診料の会社負担額

全従業員を対象にしており、かつ、その費用が会社から直接医療機関に
支払われている場合は、現物給与にはなりません。

理由は、以下の通りです。
・法律上、労働者を雇用する使用者は、労働者に対する健康診断の義務を
負っていること
・健康管理の必要上、一般的に実施されるようになっていること

人間ドッグだけでなく、通常の健康診断費用を会社が負担する場合でも
全従業員を対象にしている等であれば、現物給与にはなりません。

現物給与になる場合は、例えば、全従業員を対象とせず、社長だけが
人間ドッグを受診する場合、などです。

また、会社側は、健康診断・人間ドッグを受けなければいけないという
社内規定を作成しとくことも重要かと思われます。

従業員の配偶者に係る人間ドッグ検診料の会社負担額

現物給与になります。

会社側から見ると、従業員の配偶者に対しては、使用者として健康診断の
義務はなく、また、使用者が配偶者を対象に人間ドックによる検診をし、
かつ、その費用を負担するということがまだ一般的に行われているとは
認められていないからです。

部または課単位で行う忘年会等の費用の会社負担額

全従業員を対象にしているのであれば、現物給与にはなりません。

社内の行事として全従業員を対象にして行うものがあり、会社が負担する
費用も特に多額ではない場合は、給与として課税されることはありません。

単に、部または課単位の慰労の飲み会などで、その人たちのみしか対象と
していない場合は、現物給与になります。

創業記念品等

創業何周年記念にあたり、その記念として支給する記念品(お金での支給は
給与になります)については、以下の全てを満たせば、現物給与には
なりません。
・全従業員を記念品を支給する対象にしていること
・社会通念上記念品としてふさわしいものであること
・その処分見込価額が1万円(消費税抜)以下であること
・創業後おおむね5年を経過するごとに支給するものであること

社長の功績が大きいから、社長のみに記念品を渡す場合などは、
金額の大小にかかわらず、現物給与になります。

また、上記の取り扱いは、建設業者、造船業者等が請負工事や新造船の
完成等に際して支給する記念品については適用されません。

福利厚生費と表裏一体

現物給与になら・ならないのキーワードの1つとして、
「全従業員を対象」というものがあります。
会社という観点から見て、「全従業員を対象」にしているもので、
かつ、世間一般で行われているものは、現物給与にはならず、
会社の福利厚生に該当する場合が多いと思います。

福利厚生とは、従業員の慰安のために給与以外の報酬・サービスを
提供することです。言い換えれば、業務に直接関連しない
報酬・サービスということです。
この福利厚生に係る費用が、福利厚生費か、それとも現物給与に
なるかは、「全従業員を対象」としているかが1つの指標になると
思います。

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