会社の節税 食事代を経費にする方法

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会社には、従業員に対する福利厚生という考え方があります。
福利厚生とは従業員やその家族に対して会社が給料のほかに
提供する支援やサービスのことです。
福利厚生の代表的なものとしては、社会保険(法定福利厚生)、
退職金(法定外福利厚生)があります。
これらは、そもそも従業員に対する福利厚生という考え方から
経費計上が認められているものになります。

この福利厚生(法定外福利厚生)という考え方を使い食事代を
経費にすることも可能です。

残業をした人に対する夜食

残業した人に対して会社が支給する食事、
その食事代は回数の制限などなく福利厚生費として
全額会社の経費で落とせます。

ただしいくつか注意点はあります。
・社内規定により全従業員を対象としていること
・残業したという証拠があること
・残業食事代として従業員へのお金の渡し切りは原則ダメ
・その食事代が常識の範囲内であること

一番注意してほしいのは、
「社内規定により全従業員を対象としていること」です。
例えば、役員のみを対象として実際に夜食として食事を
支給した場合には役員に対する給与(この場合は役員賞与)と
なり経費になりません。福利厚生費として認められるには
全従業員を対象としていることが必要です。

「残業食事代として従業員へのお金の渡し切りは原則ダメ」ですが
食事の支給は、あくまでも会社が食事現物を従業員に支給する
ということにしなければいけません。
例えば夜食として出前をとるのであれば、会社が出前を発注して
お金を支払う、そしてその食事を従業員に提供する、
といったタテマエが必要です。
食事代としてお金だけを渡してしまうとその従業員に対しての
給与となり源泉徴収の対象となります。
なお、夜食食事現物を支給することが難しい場合にはお金での
支給(1回税抜300円以内)が認められる場合もあります。

昼食を支給する場合

従業員に対して会社が支給する昼食、
その食事代は福利厚生費として一部会社の経費で落とせます。

上述の残業夜食の支給と同様に
・社内規定により全従業員を対象としていること
・昼食代として従業員へのお金の渡し切りはダメ
・その食事代が常識の範囲内であること
は必要です。

そして、次の2つの要件を満たせば昼食の一部を福利厚生費
として経費で落とせます(給与課税されない)。
・半額以上を従業員(役員、使用人)が負担していること
・1ヶ月の会社負担額が従業員1人あたり3,500円(税抜)以下であること

なお、会社負担額3,500円以下(税抜)の食事評価ですが、
・内部で調理して支給(社食など)する食事は、その食事の材料等に要する直接費の額に相当する金額
・外部から購入して支給する食事は、その食事の購入価額に相当する金額
となります。

具体例は、下述します。

ひとり役員の会社、家族経営の同族会社には有効な節税になる

それなりに従業員がいる会社は、上述の夜食代・昼食代の支給は、
節税というよりも従業員に対する福利厚生という意味あいのほうが
強いと思います。そりゃそうですね。従業員に長く勤めてもらう
ための福利厚生ですから。

でも、ひとり役員の会社、家族経営の同族会社では福利厚生という
よりも有効な節税手段になると思います。
日常の生活費で福利厚生にできるものを会社の費用で落とす、
ということになるかと。

ひとり社長の会社を例にとってみましょう。

週3日残業したとします。3日×4週間=12日。
残業食事代は1日800円として全額会社負担とすると、
800円×12日=9,600円(1月の会社負担額)
9,600円×12月=115,200円(年間の会社負担額)

月20日勤務したとします。
昼食代1日700円、会社負担は185円とする。
185円÷1.08(持ち帰り弁当と仮定して軽減税率8%)=171円
171円×20日=3,420円(1月の会社負担額)
〜1月の会社負担が税抜3,500円以下、半分以上を社長が負担
 しているので給与課税されない
3,420円×=68,400円(年間の会社負担額)

上述の例だと、
年間で夜食代と昼食代の合計183,600円を経費に計上でき
節税効果があります。

従業員を雇っていない個人事業主には福利厚生は認められない

福利厚生は従業員のためのものなので、ひとりで仕事をしている
個人事業主・フリーランスには認められません。
個人事業主本人が社会保険に加入できないのはこのためです。
家族以外の人を従業員として雇っていてはじめて福利厚生費を
計上することができます。

おわりに

税務調査が入ったときは、食事代が経費に入っていれば
その食事代は何なのか(福利厚生なのか、給与なのか、交際費なのか)は
必ず確認されます。福利厚生費と処理したものが給与課税されない
ために客観的に説明できるようにしとかなくてはいけせん。

他に福利厚生を利用した節税としては、健康診断、慶弔見舞金、
レクリエーション費用負担、社宅などがあります。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

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