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公的年金等控除額の計算、令和2年分確定申告から変更になっています。
この変更が決まったのは平成30年の税制改正ですが、
適用は令和2年から、今回の確定申告分からです。
この公的年金等控除額の計算、少しわかりずらく、とても質問が多いので
今回のブログで取り上げてみました。
そもそも公的年金等とは?
公的年金等とは国民年金法、厚生年金保険法、共済年金法などの
規定による年金のほかに、過去に勤務した会社などから支払われる年金や
外国の社会保険または共済制度から受け取る年金などのことです。
公的年金等の具体例としては、
公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)、企業年金、
確定給付企業年金、確定拠出企業年金などがあります。
公的年金等を確定申告する上での所得区分は、
雑所得(公的年金等)になります。
ちなみに、保険会社等と契約する個人年金は公的年金等に該当
しません。所得区分は公的年金等と同じ雑所得ですが、
雑所得(その他)で確定申告することとなります。
公的年金等控除額、どのように改正になったのか?
公的年金等の雑所得金額は、
公的年金等の収入金額 ー 公的年金等控除額
で計算します。
改正前
令和1年確定申告分までです。
![](https://kanamoto-blog.com/wp-content/uploads/2021/02/スクリーンショット-2021-02-02-13.08.45-1.png)
※国税庁HP、令和元年分所得税等確定申告書手引きより
令和1年分確定申告までの公的年金等控除額の計算は、
上の表の通りでわかりやすかったです。
65歳未満の方であれば公的年金等の収入金額が130万円未満で
あれば、一律70万円の控除、
65歳以上の方であれば公的年金等の収入金額が330万円未満で
あれば、一律120万円の控除でした。
その収入金額130万円・330万円以上の場合でも簡単な計算で
雑所得(公的年金等)の所得金額の計算ができました。
改正前・令和1年分確定申告までは、公的年金等控除額は
直接計算せず、ダイレクトに所得金額を計算するように
なっていました。
改正後
令和2年分確定申告からです。
![](https://kanamoto-blog.com/wp-content/uploads/2021/02/スクリーンショット-2021-02-02-13.07.23-1024x835.png)
※国税庁HP、令和2年分所得税等確定申告書手引きより
改正後は上の表に当てはめ公的年金等控除額を計算します。
パッと見「ムム・・・」と思うかもしれません。
改正前は、公的年金等の雑所得金額をダイレクトに計算、
改正後は、公的年金等控除額を計算して、
収入ー控除額=所得、という計算をするようになりました。
他、改正前と変わったところは、
・公的年金等以外の他の所得が絡む
・控除額が減った
というとこです。
「公的年金等以外の他の所得が絡む」ですが、
公的年金等以外の収入(事業所得、不動産所得、分離譲渡所得、
分離株式譲渡所得など)がある方で高所得者ほど
公的年金等控除額が減る(増税になる)仕組みに変わりました。
「控除額が減った」ですが、10万円控除額が減っていますが
逆に基礎控除が10万円増えているので差し引き0円です。
ただ基礎控除も一律誰でも改正後の48万円ということではなく
高所得者ほど基礎控除も減る仕組みに変わったので
高所得者にとっては増税になります。
収入が公的年金等のみの場合
前提
・年齢80歳
・公的年金等(厚生年金)の令和2年収入金額は280万円
・他の収入は一切なし
公的年金等控除額は、
![](https://kanamoto-blog.com/wp-content/uploads/2021/02/スクリーンショット-2021-02-02-13.07.23のコピー-2-1024x835.png)
上の赤囲み部分の金額がぶつかつ箇所は、110万円になります。
なので、公的年金等控除額は110万円です。
一番左列が公的年金等の収入金額です。
280万円なので「〜3,300,000円」、
上行、公的年金等に係る雑所得金額以外の合計所得金額は
公的年金等以外の収入がなく0円なので「〜10,000,000円」
となります。
公的年金等以外の収入がない方は、上表の青囲み部分で
公的年金等控除額の計算を行うことになります。
それより右はムシしてください。
公的年金等に係る雑所得金額以外の合計所得金額
(公的年金等以外に収入がある場合)が1,000万円以上ですと
青囲み部分の右側で公的年金等控除額を計算します。
でも、厚生年金等受給者で年金収入以外の所得が1,000万円超の
人はなかなかいないと思います。
収入ベースではなく所得(収入ー経費=所得)ベースでの判断です。
ただ、ご自宅を売却して譲渡所得が発生する場合は、
1,000万円超となることも考えられます。
ちなみに、この前提のケースでの所得税等確定申告書第一表は
以下のような感じになります。
![](https://kanamoto-blog.com/wp-content/uploads/2021/02/スクリーンショット-2021-02-02-18.26.26のコピー-1-1024x831.png)
公的年金等以外に収入がある場合
前提
・年齢80歳
・公的年金等(厚生年金)の令和2年収入金額は280万円
・自宅を売ったので不動産の譲渡所得がある
売却金額3,000万円、取得費1,800万円
![](https://kanamoto-blog.com/wp-content/uploads/2021/02/スクリーンショット-2021-02-02-13.07.23のコピー2-1024x835.png)
上の赤囲み部分の金額がぶつかつ箇所は、100万円になります。
なので、公的年金等控除額は100万円です。
一番左列は年金等の収入金額でその金額は280万円なので「〜3,300,000円」、
上行、公的年金等に係る雑所得金額以外の合計所得金額は
公的年金等以外の収入として譲渡所得(3,000万円ー1,800万円=1,200万円)
があるので「〜20,000,000円」となります。
「収入が公的等の場合のみ」の前提と変わっているのが
不動産の譲渡所得(1,200万円)があるだけです。
改正前であれば公的年金控除額は上述の2例で同額ですが、
改正後は10万円の差が出ます。
ちなみに、この前提のケースでの所得税等確定申告書第一表は
以下のような感じになります。
![](https://kanamoto-blog.com/wp-content/uploads/2021/02/スクリーンショット-2021-02-02-18.26.26のコピー2-1-1024x831.png)
おわりに
収入が公的年金等のみでその収入金額が400万円以下で
公的年金等以外の所得金額が20万円以下の方は、
所得税の確定申告(税務署への確定申告)をする必要はありません。
でもある程度の年金をもらっている人(65歳以上であれば年間160万円
以上ぐらい)であって、公的年金等の源泉徴収票に記載された控除以外の
控除がある(医療費控除、生命保険料控除など)場合は、
市区町村への住民税の申告か税務署への確定申告(書類が市区町村へ
まわる)をすることにより住民税が安くなります。
公的年金等のみの収入で税務署に確定申告する必要がない方でも
住民税のことも考え申告するかしないか決めましょう。