税務調査の際に「お土産」は必要か?

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税務調査、皆さん大嫌いだと思います。
私も正直嫌いです。

そんな嫌われモノの税務調査に関して、
税務調査時の「お土産」というコトバを聞いたことがあるでしょうか?

税務調査はどうやって終わるのか

税務調査が終わるとき、大きく分けて2パターンです。

・是認〜税務調査の結果、何も問題がなかった。納税者の勝ち。

・修正申告〜税務調査の結果、問題を指摘され納税者自らその問題に対して修正申告をする。税務署の勝ち。

他にはモメた末、税務署が更正・決定する場合もあります。

税務調査の期間は基本1社あたり3ヶ月以内と税務署内ではなっているようです。
今までの印象だと、税務調査が終了するのはどんなに早くても1ヶ月、
普通で2〜3ヶ月、モメルと3ヶ月超となる、という印象です。

基本、是認で税務調査が終了となることを税務署の調査官は
イヤがります。
なイヤがるかというと、追徴税額が調査官の直接の評価となり、
上からも税金を取ってこいと教育を受けているからです。
税金を取ってこれないと無能の象徴のような扱いをされる
らしいです。公務員にもかかわらず。

「お土産」は用意すべきなのか?

税務調査の長期化を嫌がってわざわざ「お土産」を用意して
短期間で税務調査を切り上げてしまおう、と考える方が
いらっしゃいます。
経営者の方のみならず税理士の中にも「お土産」は必要だ、
と考えている方もいまだにいるようです。

この「お土産」とは、あえて処理の間違いを発見させて
調査官に追徴課税という手土産を与え早々に税務調査を
終了してもらおう、というものです。
昔の「賄賂」みたいな感じでしょうか。

この「お土産」を用意しとくことにより税務調査が早く
終了する、ということはないと思います。
調査時に何も発見できなければ調査官はそれなりに
粘りますし、指摘事項を発見したらしたでまだ何か
あるかも、と粘るでしょう。どちらも経験済みで、
いずれにしても税務調査が入ってしまうとそれなりの
時間がかかります。

粘り強く交渉すれば是認で決着を見込めるのもを
「お土産」として追徴課税を認めてしまうとムダな税金を
支払うばかりではなく今後にも影響します。

税務調査の度に追徴されてしまうと税務著のリストに入り
税務調査の頻度が高くなる、というリスクもあります。

税務調査は、こないに越したことはないです。
でも、利益が出ている会社にはいつかはきます。
きたときに「是認」を勝ち取れば今後くる頻度は
低くなります。税務調査がこないようにすることが
一番です。ムダな時間も削減できます。

結論、「お土産」は百害あって一利ナシなので用意する必要全くナシ。

「お土産」の実際の事例

これは、私がまだこの業界に入りたての頃の話です。
当時、勤務していた税理士事務所は、トップで税理士先生1人、
その下に雇われの従業員が4〜5人の事務所でした。
日々の業務は担当制で、従業員が直接行い、判断に迷うときは
税理士先生に相談する、といった古い体質の事務所でした。

私が担当していたとある会社に税務調査が入りました。
調査官も経験が浅そうな人でした。
売上・原価等には特に大きな問題はなかったのですが、
社内交際費が1件福利厚生費に入っており、別表15で交際費に
加算もされていなかったので、その件を指摘されました。
1件だけで大した金額ではなかったとは思います。
現在では交際費課税は中小法人で800万円までは無税ですが、
当時は600万円まで1割別表加算する必要がありました。

その税理士先生は、交際費課税で修正申告することと
さらにはこの課税に対する重加算税を課すと調査官に
いわれ認めました。
正直、このときは重加算税を課される意味が当時はあまりよく
わかっていませんでした。
このとき、この税理士先生は「お土産だから」と言いました。

福利厚生費に入っていた社内交際費を別表で加算しなかった
ことは当時の私のミスです。これについては申し訳ない
気持ちでいっぱいでした。

でも今考えると重加算税を認めることはあり得ないです。
重加算税とは、事実を隠蔽し、または、仮装した場合に課されます。
事実を隠蔽とは、二重帳簿、売上を意図的に抜いていることなどです。
重加算税の税率は35〜50%であり非常に高率です。
重加算税を認めてしまうと、ほぼ確実に今後税務調査がくる頻度が
上がってしまいます。上述の交際費の計上もれは、どう見ても
事実を隠蔽し、または、仮装した場合には該当しません。
これを調査官に対する「お土産」として認めることは
どう考えてもおかしい話です。
重加算税といわれても「隠蔽・仮装ではない」と普通に交渉すれば
課されないものだと考えます。事実違いますので。

おわりに

税金の基本的な考え方は「課税の公平」です。
「課税の公平」とは同じ利益(担税力)であれば
同額の税金となる(同様の課税内容となる)、という考え方です。
お土産を用意して必要ない税金を支払うことは
この「課税の公平」の考え方からしても絶対おかしいです。


税務調査でお困りの方はご連絡いただければ、と思います。
当事務所では経験豊富な税理士が必ず直接対応致します。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

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