中古車の耐用年数の算出方法 いきなり簡便法では計算しない

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会社が中古車を購入した場合、
その車は原則減価償却資産になります。

中古車を購入した場合、耐用年数にはちょっと注意が必要です。

耐用年数とは?

耐用年数の説明の前に減価償却費について簡単に触れます。

事業用の建物、機械装置、器具備品、車などは時の経過・使用と共に
価値が減少するものです。自宅が老朽化していくイメージです。
このような資産を減価償却資産といいます。

時の経過等と共に価値が減少していく減価償却資産は、長く使うものなので
購入時に一時の費用とするには適していないので、その資産の使える期間
にわたり費用とする、その計算された金額を減価償却費といいます。

この減価償却費の計算に必要なのは、取得価額、償却方法、耐用年数です。
ザックリいうと取得価額は買った金額、償却方法は定額法か定率法等、
そして本題の耐用年数はというと、

耐用年数とはその資産を使える年数のことで、
それは「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」というもので
建物、車などの資産ごと・細目ごとに決められています。
法定耐用年数ともいいます。
この耐用年数は、大きな修繕費を要しないで使うことができる年数、
という考え方で、一般的には短めに設定されています。

新車の耐用年数

新車の減価償却資産の耐用年数は省令で決められています。
下記の耐用年数は、運送事業用、貸自動車用、自動車教習所用の
車は当てはまりません。それらの事業で使う車は別で下記よりも
少し短めに耐用年数が設定されています。

普通の乗用車(軽自動車以外)・・・6年

軽自動車・・・4年

バイク・・・3年            などなど

ちょっと話はそれますが、30万円未満(年間300万円まで)の取得価額の
中古車を購入した場合には、その取得した事業年度で一括費用計上できます。
なので、一括費用計上した場合は耐用年数も関係なくなる、
ということになります。

中古車の耐用年数の算出方法

中古車を買った場合の耐用年数の算出には以下の手順で算出します。


①その中古車の使えるであろう期間(使用可能期間)を見積もる
  その使用可能期間を見積もるとは、車であれば購入前に販売店と
  車の用途等を説明して、その車はあと何年ぐらい使えるか
  打ち合わせをすると思います。
  また、もしその車を買うことにより本業の売上につながるので
  あれば年間いくら、何年間使うか、を考えるはずです。
  中古車の場合は、その見積もった期間を原則耐用年数とします。
  もし、その見積もった期間が法定耐用年数を超えてしまったら
  その法定耐用年数を耐用年数とします。


②①の見積もりが困難なときは簡便法により算出することができる(簡便法)
 ・法定耐用年数の全部を経過した車
   その法定耐用年数の20%に相当する年数
   (1年未満の端数切捨て、2年未満は2年)
 ・法定耐用年数の一部を経過した車
  (法定耐用年数ー経過年数)+経過年数×20%
   (1年未満の端数切捨て、2年未満は2年)


 例1 平成22年に初年度登録の1500ccの車を
    令和2年10月に40万円で購入。法定耐用年数は6年だが
    その全部を経過しているので、
    6年×20%=1.2年→2年未満なので耐用年数は2年

 例2 平成30年10月に初年度登録の1500ccの車を
    令和2年10月に100万円で購入。法定耐用年数は6年だが
    その一部を経過しているので、
    (6年ー2年)+2年×20%=4.4年→4年


一番の注意点としては、①の使える期間を見積もる前にいきなり②の
簡便法でその耐用年数を算出しない、ということです。
簡便法で算出すると耐用年数が2年になることが多いです。
例えば5年落で走行距離3万㎞の中古車を買ってその中古車の耐用年数を
簡便法で計算して2年((6年ー5年)+5年×20%=2年)とした場合には
税務調査時に問題になると思います。
5年落ちではあるが走行距離がまだ3万㎞、2年の使用見込み、
常識で考えてもっと長い使用期間を見込んでいる、と考えられるからです。
年間5〜6万㎞走行する見込みだ、ということであれば考えられなくも
ないですが、もしそうであれば説明できるようにしとかなければいけません。

新古車の耐用年数

新古車とは、ディーラールームで試乗車や展示車として新車登録されているが、
走行距離がほとんどない車のことです。新車とほぼ同じスペックを保っている
ことが多いです。

この新古車は中古車ではありますが、1~2年落ち程度の新古車であれば
耐用年数は新車と同じ耐用年数とする場合がほとんどだと思います。
新車とほぼ同じスペックを有している、と考えるられるからです。

もし、3年落ち・4年落ちの新古車をディーラーから購入する、という場合
であれば、中古の耐用年数を採用できる可能性はあると思うので、
個別に精査して判断することになります。

おわりに

中古車の耐用年数を安易に簡便法で計算して2年で減価償却してしまうと
税務調査時に問題となることが多々あります。
はじめに「その使用可能期間を見積もる」、見積もれなければ「簡便法」で
耐用年数を算出します。
なお、中古車のみならず他の減価償却資産を中古で買ったときの耐用年数の
算出方法も同じになります。


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