不動産所得、退去時の原状回復費を入居者に負担してもらった場合の取り扱い

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個人事業主で賃貸マンション等の家賃収入がある場合、
マンション等の入居者が退去する際、入居時に預かっていた
敷金、その敷金から原状回復費を差し引いて返却する場合等の
その差し引いたお金の所得税確定申告、消費税の取り扱いに
ついてです。

入居者負担額が預かり敷金の金額以下の場合

前提
・入居者からの預かり敷金 100,000円
・入居者負担の現状回復費  66,000円
・入居者に返還した敷金   34,000円
・実際にかかった現状回復費(修繕費)  88,000円

所得税確定申告の取り扱い

まずは、実際にかかった原状回復費88,000円は修繕費として
全額経費になります。

預り敷金と相殺する入居者負担の原状回復費66,000円ですが、
これは不動産収入に入れます。
何でかというと、入居者負担の原状回復費は、マンションの
家賃収入に関連して得た収入なので不動産収入に入れます。


仕訳で考えるとわかりやすいかも。

修繕費 88,000 / 現金預金 88,000

預り敷金 100,000 / 現金預金 34,000
           / 雑収入  66,000


となります。

なお、収入の計上時期ですが、敷金の返還をしないことが
確定した日になります。
根拠法令等は、所得税法基本通達36-7(3)です。


ちなみに、不動産所得の青色申告決算書には以下のように
記載しておけばいいでしょう。


損益計算書


不動産所得の収入の内訳

消費税の取り扱い

消費税の免税事業者(消費税を申告納付しなくていい事業者)で
あればココは読み飛ばしてください。関係ありませんので。

上の仕訳、雑収入の66,000円は家主が入居者だった人に行う
原状回復代行サービスの役務提供と考えるため消費税の課税売上に
含めて消費税を計算します。

さらに、修繕費88,000円ですが、課税仕入れに当然なります。
不動産収入が事務所などのテナントのみで課税売上割合が
95%以上(かつ当年の消費税の課税売上が5億円未満)であれば、
その消費税は全額控除でき、
95%未満で課税仕入れを分けて計算する必要がある場合でも
課税売上にのみ要する課税仕入れとして全額控除できます。
修繕費88,000円は、雑収入66,000円と直接対応だからです。

入居者負担額が預り敷金の金額を超え追加でお金をもらった場合

前提
・入居者からの預かり敷金 100,000円
・入居者負担の現状回復費 150,000円
(うち、入居者からもらった差額  50,000円)
・実際にかかった原状回復費(修繕費)  250,000円
※原状回復費で資産計上すべきものはないものとします

所得税確定申告の取り扱い

実際にかかった原状回復費250,000円は修繕費として
全額経費。借主負担額が預かり敷金の金額以下の場合と
同じです。

そして、入居者負担の現状回復費150,000円は
不動弾の収入金額になります。理由は上と同じ。


仕訳で考えると、

修繕費 250,000 / 現金預金 250,000

預り敷金 100,000 / 雑収入 100,000 
現金預金  50,000  / 雑収入  50,000

となります。

消費税の取り扱い

ここも消費税の免税事業者(消費税を申告納付しなくていい事業者)
であればココは読み飛ばしてください。関係ありませんので。

上の仕訳、雑収入の合計150,000円は家主が入居者だった人に行う
原状回復代行サービスの役務提供と考えるため消費税の課税売上に
含めて消費税を計算します。

さらに、修繕費250,000円ですが、課税仕入れに当然なり、
借主負担額が預かり敷金の金額以下の場合の消費税の取り扱いで
触れた同じ理由によりその消費税分は売上に係る消費税から
全額控除できます。

敷金の扱いには注意が必要

不動産所得がある場合の敷金・保証金の取り扱い、
事務所店舗等テナント賃貸の場合だと、入居後数年経過すると
退去時に何割か返却しなくてもいい旨が契約書で定められている
ケースもあります。その場合は返却不要となった部分(償却分)は
その不要となった年の不動産収入に入れなければいけません。
敷金については不動産所得の確定申告をする上では
契約書の内容をよく確認する必要があります。

おわりに

かなもと税理士事務所では令和2年分確定申告、
まだ受け付けております。
確定申告でお困りの方はご連絡いただければと思います。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

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