暦年課税で贈与税の申告納付をする場合、
贈与税が安くなる「特例税率」たるものを使える
場合があります。
令和2年分の贈与税の確定申告は、
令和3年2月1日から令和3年3月15日の期間中に行います。
令和2年中にもらった財産の合計が110万円以下であれば
暦年課税の贈与税申告納付はする必要なありません。
この辺のお話は以前のブログで書いていますので
参考までにリンクを貼っときます。
暦年課税の贈与税には2種類の税率がある
一般税率と特例税率の2種類です。
贈与税は高税率ですが、特例税率のほうが
一般税率よりも少し税率が低く優遇されています。
※国税庁HPより
暦年課税贈与税の特例税率は無条件で適用できるのもではなく
いくつか要件があります。
・贈与を受けた人(受贈者)が贈与を受けた年の1月1日に20歳以上であること
・財産をあげた人(贈与者)が受贈者の直系尊属であること
財産をあげた人(贈与者)が受贈者の直系尊属であること、ですが
財産をもらった人(受贈者)の立場から考えると、両親からの贈与、
両親の両親(祖父母)からの贈与でしか特例税率は適用できない、
ということになります。
その他の人(兄弟、親戚、知人等)からの贈与はすべて一般税率で
贈与税を計算しなくてはいけません。
どれくらい贈与税額が変わるのか
令和2年に父から子(30歳)に現金を贈与したとします。
500万円の現金贈与の場合
一般税率の場合
(5,000,000円ー1,100,000円)×30%ー650,000円=520,000円
特例税率の場合
(5,000,000円ー1,100,000円)×20%ー300,000円=480,000円
特例税率が一般税率よりも40,000円、贈与税が安くなります。
1,000万円の現金贈与の場合
一般税率の場合
(10,000,000円ー1,100,000円)×40%ー1,250,000円=2,310,000円
特例税率の場合
(10,000,000円ー1,100,000円)×30%ー900,000円=1,770,000円
特例税率が一般税率よりも540,000円、贈与税が安くなります。
贈与税は累進税率ですので、もらった財産の金額が多くなるほど
高い税率が課されその差はどんどん広がります。
300万円の現金贈与の場合
一般税率の場合
(3,000,000円ー1,100,000円)×10%=190,000円
特例税率の場合
(3,000,000円ー1,100,000円)×10%=190,000円
300万円の贈与ですと特例税率と一般税率の贈与税は同額となります。
年間400万円までの贈与であれば特例税率と一般税率の贈与税額は
同額になります。
特例税率を適用するための添付書類
贈与税申告書に、財産をもらった人の戸籍謄本(又は戸籍抄本)を
添付します。この書類で贈与者と受贈者が直系尊属であることを
証明します。毎年、親から現金贈与を受けていて特例税率の適用を
受ける場合は、初年度の贈与税申告書には戸籍謄本を添付しますが、
翌年以降は贈与税申告書のみでOKです。
上述しましたが、直系尊属からの贈与が年間400万円までなら
特例税率でも一般税率でも贈与税額は変わりません。
変わりませんが、とある年に現金以外の不動産の贈与を
受けたい、ということもあるかもしれません。
ですので、両親・祖父母からの贈与で暦年課税の贈与税申告が
必要な場合は、特例・一般税率どちらでも贈与税額が変わらない
ときでも戸籍謄本を添付して特例税率で申告しといたほうが
いいかと。後々が楽になります。
なお、住宅取得等資金の贈与税の非課税、教育資金の一括贈与を
受けた場合の贈与税の非課税、各種納税猶予等の適用を受けようと
する場合は、全く別の話になります。
おわりに
祖父母、両親からの現金贈与は地味ではありますが
有効な相続対策になります。
贈与税は税率が高いので1回で多額を贈与するのではなく
少額で毎年、というイメージです。
毎年100万円の子への贈与を10年間行えば1,000万円分の
相続対策となります。