個人名義の預金口座を会社で使っている場合、預金利息は会社の収益に計上する?しない?

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ひとり社長の会社で、会社名義の預金口座を作らずに
社長個人名義の預金口座を会社の預金口座として使っている
ケースも結構あるかと思います。

預金口座の名義は社長個人、
でも会社なので法人税の確定申告を当然行います。

この場合、その個人口座につく預金利息は会社の受取利息として
収益(益金)計上する必要はあるのでしょうか?

形式(名義)は個人、実質は会社

個人名義の預金口座を会社のみで使っている場合、
形式(名義)は個人、実質は会社(その預金口座を使っているのが
会社のみだから)、となります。

名義人は個人なので、その預金利息は
会社(法人)の収益(益金)とはならないのでは、
と考える方もいらっしゃるかも。

でも、それは違います。
法人税法では、形式と実質が異なる場合、実質に課税する
という規定があります。これは法人税法のみならず
税法全般の考えでもあります(所得税法、消費税法にも同じ
ような規定がある)。

ですので、今回のような個人名義の預金口座を会社で使って
いる場合、その預金口座の利息は会社の収益として計上するのが
正しい、ということになります。

ちなみに、根拠法令は法人税法第11条、実質所得者課税の原則、です。
参考に載せときます。

(実質所得者課税の原則)

第十一条 資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の法人がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する法人に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。

e-Govより

形式と実質が異なる場合は所得税に多い

形式と実質が異なる場合、法人税の事例よりも
所得税の事例の方が多いです。

具体的には、
・不動産所得が誰に帰属するか(資産から生じる収益)
・事業所得が誰に帰属するか(事業から生じる収益)

誰の所得して所得税の確定申告をするのか、
形式と実質が異なる場合は、形式の名義人ではなく
実質に収益を享受する人の所得として確定申告をします。

一例として、とある父子がいて、飲食店を経営していたとします。
・父名義で店舗を借りていた、
・その他の設備等も父がお金を出して購入していた
・経営方針の最終決定は父がしていた
・父はお店に出ることはなかった
・子は飲食店の収支の管理を行っていた、
・子は従業員の採用は給与の決定・昇給を行っていた
という状況だったと仮定します。
父、子どちらの事業所得として確定申告するのが正しいのか?
この場合、父の事業所得として確定申告するのが正しい、と
考えられます。経営方針の最終決定は父がしていた、というのが
一番大きな理由です。子は単なる従業員という扱いになるかと。

所得が誰に帰属するのか、は取り巻く状況を全て把握して総合的に
判断します。すぐには判断できるものではありません。
個別案件については、税理士等の専門家に相談して判断を
仰いだほうがいいです。

おわりに

最近は超低金利なので、預金利息の会社の利益(所得)への
影響は微々たるものです。

でも、金額の大小かかわらず正しい基準で収益・経費の計上を
するクセをつけとかないと、大きな間違いにつながる可能性が
高いと個人的には思っています。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

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