個人事業主の青色申告と白色申告、税金面でどれくらい変わるのか?

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個人で事業を営んでいる場合、青色申告すると
青色申告特別控除で最大65万円の控除を受けられます。
この青色申告特別控除、所得税だけではなく住民税、
国民健康保険にも影響してきます。
青色申告特別控除には、65万円、55万円、10万円控除の
3種類がありますが、65万円控除の青色申告と白色申告では
どれくらい税金トータルは変わるのでしょうか。

税金、どれくらい変わるのか?

前提として、
・個人事業主で42歳独身
・健康保険は国民健康保険
・令和2年分の売上〜1,200万円
・令和2年分の経費〜500万円
・令和2年分確定申告での所得控除の合計〜150万円
・青色申告の場合は65万円控除の適用
とします。

青色申告白色申告差額
所得税553,800686,600132,800
住民税497,500552,50055,000
国民健康保険710,400788,40078,000
合計1,761,7002,027,500265,800

※・国民健康保険は概算で12%の税率で計算しています
 ・表の金額単位:円

青色申告(65万円控除)と白色申告では、上述の前提ですと
年間265,800円の差額が出ます。結構大きな差額です。
青色申告特別控除は、所得税・住民税を計算する上では
所得からマイナスしてくれることはお知りおきの方は多いと
思いますが、見逃せないのが、国民健康保険の計算でも
所得からマイナスできるということです。
上述の前提ですと約7.8万円保険料が安くなります。

ちなみに、上述の前提ですと個人事業税も払わないといけませんが、
個人事業税については青色申告特別控除は適用できないので
青色でも白色でも税額は20.5万円となり同額となります。

青色申告承認申請書の提出期限〜令和3年分から青色申告する場合

青色申告で所得税の確定申告をするためには、所轄の税務署に
「所得税の青色申告承認申請書」という書類を提出期限までに
提出して承認を受けなければいけません(提出期限までに
税務署から連絡がなければ自動承認となる)。
その提出期限ですが、令和3年分から青色申告で申告したい、
ということですと、

令和2年以前から事業をしている、
令和3年1月1日から令和3年2月26日までに開業した場合

〜令和3年4月15日(木)


令和3年2月27日以降に開業した場合

〜事業開始等の日から2月以内


となります。
新型コロナで申告納付期限が延長されており、それに伴い
青色申告承認申請書の提出期限も上記のようになります。

青色申告65万円控除は結構ハードルが高い

青色申告65万円控除の適用を受けるには、まず上述の申請書を
所轄税務署に提出しますが、その後が結構大変です。
じぶんで事業所得の青色申告をする場合ですが、65万円控除ではなく
比較的簡単な10万円控除で申告されている方も結構多い、
という印象です。

青色申告65万円控除の適用を受けるには、
・複式簿記による記帳(会計ソフトを使わないと難しい)
・損益計算書と貸借対照表を確定申告書に添付する
・法定申告期限内に確定申告をする
・帳簿等を7年間保存しなければいけない(一部5年)
・電子申告(e-tax)で申告すること
などの要件を満たさないといけません。

ちなみに、令和2年分の確定申告から上述青色申告65万円控除の
要件を電子申告以外全て満たしている(紙で申告書を提出)場合は
55万円控除となります。

65万円控除の要件で一番難しいな、と思うのが会計ソフトを
使っての複式簿記による記帳でしょう。
簿記になじみがない方は複式簿記?何それ??って感じでしょう。
この複式簿記による記帳、会計ソフトを使いある程度自動化
できますが完全に自動化できるわけではなく訂正の作業は発生します。
また、イレギュラーの取引(車を買い替えたなど)が発生した
場合はそれなりの会計・税務の知識も必要となります。

税理士を上手く使おう

個人事業主の方の確定申告ですが分離課税譲渡所得などの
一部難度が高いものを除き、皆さん自身でできる範囲であると
思っています。でも、いきなり青色申告65万円控除の確定申告が
できるかというと難しいと感じます。

じぶんでは経理、確定申告をやりたくないしわからないので
税理士にお願いする、という方も多いと思います。
上述した税額に差額が出て税理士報酬の分をペイできる、
じぶんでやらなくていいので時間が大幅に浮く、というメリットが
あります。

じぶんでやりたい、という方は税理士に確定申告のやり方を教えて
もらうといいと思います。そういう税理士との関わり方も最近増えて
きているという印象です。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

おわりに

不動産所得がある方が青色申告65万円控除の適用を受けるには
不動産貸付けが「事業として行われている」ことが、必要です。
「事業として行われている」とは、
・アパート等については、貸与可能な独立した室数がおおむね10室以上
・独立家屋の貸付けは、おおむね5棟以上
つまり、それなりの家賃収入がないとダメ、ということです。

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