所得税の確定申告をする必要があるかないか、
悩む方は結構多いのかな、という印象です。
原則、税金(所得税等)で出なければ確定申告する必要はありません。
他、サラリーマンなどの給与所得者で、お給料以外の他の所得(利益)が
20万円以下の場合は確定申告不要ということになります。
株の売買(一般口座)の利益が20万円以下で他の収入がない場合
先日、こんな質問を受けました。
株の売買を一般口座でしていて、その利益は令和2年合計で
20万円以下になる見込み。給料など他の収入は一切ない。
この場合、利益が20万円以下なので確定申告する必要は
ないですよね?
所得の種類関係なく、利益(所得)が20万円以下であれば
所得税の確定申告はいらない、と思われていたようです。
利益(所得)が20万円以下で確定申告不要となるのは
給与所得がある、というのが前提になります。
今回の場合は令和2年の収入が株売買による収入のみ
なので、この20万円以下で所得税の確定申告不要の
ケースには該当しません。
この20万以下で確定申告不要になるケースについては
後日のブログで書きます。
今回の質問のケースの結論、利益が20万円以下ということ
であれば確定申告をする必要はありません。
その理由は一般口座での株売買利益のみで、その利益が
20万円以下だと税金(所得税等)が発生しないからです。
正確な金額ベースなら、利益が45万円以下であれば所得税も
個人住民税も確定申告する必要なし(東京都23区の場合)、
利益が45〜48万円以下であれば所得税は確定申告する必要なし、
個人住民税は必要になるケースもある、ということになります。
いきなり個人住民税を出してしまいました。
なんでかはこれから説明します。
今回のケースだと、
国税である所得税の場合、分離課税による株式の譲渡所得(一般)が
20万円以下、株式の譲渡所得(一般)以外の所得はないという
ことなので、例えば株式の譲渡所得(一般)が20万円ちょうどだと
するとその金額から基礎控除・社会保険料控除などの所得控除で
株式の譲渡所得からマイナスできます。
基礎控除だけでも48万円マイナスできるので
課税所得金額は20万円ー48万円=0円(マイナスは切り捨て)と
なり税金が発生しないので確定申告する必要はない、
ということになります。基礎控除の他に社会保険料控除の
対象となるもの(国民年金、国民健康保険など)があれば
それらの所得控除の合計が株売買の利益以上だと確定申告する
必要なありません。
個人住民税について東京都23区の場合は所得金額が45万円以下で
所得割・均等割ともに非課税となるので個人住民税の申告も
する必要ない、ということになります。均等割の非課税額については
市区町村で異なる場合もあります。上記は東京都23区の場合です。
この所得控除、総合課税で給与所得・不動産所得など他に所得が
ある方であればそれらの総合課税の所得から先に所得控除を行い、
引ききれなかった分は、分離課税(不動産の譲渡所得、株式の譲渡所得、
退職所得など)から引くことができます。
今回のケースだと給与所得などの総合課税の所得が0なので
所得控除は全額分離課税の所得からマイナスできます。
でも基本確定申告した方がいいと思う
上記のように、1年間の所得が株売買の所得のみで所得税等、
個人住民税が発生しないのであればそれらの確定申告はする
必要はありません。
でも基本確定申告しといた方がいいと思います。
一例として国民健康保険が絡むときです。
国民健康保険で支払う保険料は前年の所得金額等で決まります。
上記のケースで確定申告した場合は国保健康保険料はかなり安い
金額になります。でも確定申告しなかった場合は区役所市役所は
その人の収入・所得がわからないので推定でその保険金額を
決めます。かなり昔に月10,000円ぐらいになる、という話は
聞いたことがあります。確定申告したケースと比べて約10倍に
なるのかなと。違ってたら後日訂正します。
確定申告がいらない場合
そもそも確定申告がいらない場合、ちょっとだけ詳しく
解説します。
原則、所得税等の税金計算をした結果、税金が0になる人です。
根拠条文としては、所得税法120条第1項にこう書かれています。
所得税法
e-GOVより
(確定所得申告)
第百二十条
居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が第二章第四節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を第八十七条第二項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるときは、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。(〜以下省略)
(所得金額ー所得控除)× 所得税税率 = 所得税額(100円以上)
所得税額 ー 配当控除 = ×××
上記の算式で計算した金額が発生するのであれば
確定申告をしてね、ということです。
ということは、各所得の合計から所得控除(基礎控除など)を
差し引いて0になれば確定申告はしなくていい、ということになります。
これが原則の考え方なのですが、
マイホームを売った場合の3,000万円控除の適用を受ける場合など
税務上の特例を受けるときは税額が0円でも確定申告は必要となります。
おわりに
納める税金が0円なので確定申告が必要なくてもサラリーマン以外で
収入がある方は確定申告しといた方がいいケースは多いと思います。
上記の国保の件もありますし、事業をされている方の持続化給付金の
申請も確定申告をしていなければ申請自体ができません。