個人事業主の交際費が認められた事例

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昨日は医者の交際費が否認された事例をご紹介しましたが
本日は弁護士の交際費が認められた事例をご紹介いたします。

裁判等で判断された事例は、今後同じような事例があったときの
判断基準となります。つまり、実質的に法律と同等の効力を持ちます。

弁護士の交際費が認められた事例
〜所得を目的としない接待費等の必要経費について
争われた事案〜
(平成26年1月17日 最高裁判例)

概要

弁護士である個人事業主(以下、「Aさん」とします)は、弁護士会会長や
連合会副会長の役員を務めたがこれらの役員としての活動に伴い支出した
懇親会等の支出を弁護士としての事業所得の計算上必要経費に算入して
所得税の申告を行った。課税庁はこれらの経費については必要経費に算入
できないとして更生処分等を行ったのに対し、Aさんはこれらの支出の
一部分は事業所得の計算上必要経費にあたると主張し、上記処分の一部
取消しを求めた事案です。
なお、家事費とは明確に区分されていたようです。

結果は、
第一審ではAさんの敗訴、
控訴審では第一審を一部取り消しAさんの主張が一部受け入れられた。
最高裁では上告が退けられAさんの主張が認められた。

Aさんの勝利、国は敗北、となったわけです。

判決内容

Aさんの弁護士会等の役員等としての活動がAさんの「事業所得(弁護士
としての売上)を生ずべき業務」に該当しないからと言って、その活動に要した
費用がAさんの弁護士としての事業所得の必要経費に算入することができない
というものではない。なぜなら、Aさんが弁護士会等の役員等として行った
活動に要した費用であっても、これはAさんが弁護士として行う事業所得を
生ずべき業務の遂行上必要な支出であれば、その事業所得の一般対応の
必要経費に該当するということが言えるからである。

弁護士会等の目的やその活動の内容からすれば、弁護士会等の役員等が
所属する弁護士会等又は他の弁護士会等の公式行事後に催される懇親会等、
弁護士会等の執行部の一員として、その職員や、会務の執行に必要な
事務処理をすることを目的とする委員会を構成する委員に参加を呼びかけて
催される懇親会等に出席することは、それらの会議体や弁護士会等の
執行部の円滑な運営に資するものであるから、これらの懇親会等が
特定の集団の円滑な運営に資するものとして社会一般でも行われている
行事に相当するものであって、その費用の額も過大とは言えないときは、
社会通念上、その役員等の業務の遂行上必要な支出であったと解するのが
相当である。

見解

弁護士会等の活動は、綱紀・懲戒、紛議調停、弁護士向けの研修などの
ようです。Aさんは弁護士会の役員等として活動をしており、その活動は
Aさんの弁護士としての売上には直接関係ない、ということは「事業所得を
生ずべき業務」に該当しない、というのが課税庁の主張です。
Aさんは、その活動を「弁護士」として行っており(弁護士でなければ
弁護士会の役員等として活動できない)、その活動は「事業所得を生ずべき
業務」ではないが、「弁護士としての業務の遂行上必要である」と言える
と思います。弁護士でなければ、その活動はできないですからね。
なので、この判決は妥当だと私は思います。

おわりに

接待交際費とされる支出が、業務と関連があることが必要経費算入の1つの
条件となっています。ポイントの1つとして、接待の相手が業務に関係が
あるかということが挙げられると思います。接待をした相手の人の氏名を
領収書の裏に書いとくなど個人を特定できるようにしときましょう。
また、どういった意図(売上を取るため等)で接待をしたのか、接待をした
結果、売上につながったのかなどの説明をできるようにしとかなくては
いけません。売上につながらなかった場合等には、その状況によっては
否認されることもあるようです。判断が難しいですね。

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