住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

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この制度は当初令和元年6月30日までの住宅資金の贈与が対象でしたが、
令和3年12月31日まで延長されました。

この制度を使えば、もらった住宅取得等資金の贈与税は非課税となりますが
その後の相続で不利になる場合があります。小規模宅地等の特例の適用を
受けられなくなる可能性があるからです。

概要

二郎さんという方がいたとします。二郎さんは現在、賃貸マンションに住んで
おり一軒家の購入を考えてました。二郎さんの父は貯金が1億円あるので、
2,000万円負担してくれるという話があり実際に負担してくれたとします。
通常であればその2,000万円は二郎さんの父から二郎さんへの贈与となり贈与税
がかかってしまいますが、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
の適用要件を満たせば、その適用を受け贈与税はかかりません。

令和3年12月31日までに父母や祖父母などから贈与により、自己の居住の用に
供する住宅用家屋の新築、取得、又は増改築等の対価に充てるための金銭を
取得し、取得後すぐに自己の居住の用に供するなどの要件を満たせば贈与税は
非課税となります。なお、贈与により取得した金銭の使途は新築の住宅用家屋の
取得だけではなく、新築のための土地の取得や増改築も含まれます。

要件

住宅取得等のお金をあげる人の要件
①お金をもらった人の直系尊属(父母、祖父母等)であること

もらう人の要件
①お金をあげた人の直系卑属(子、孫等)であること
②住宅取得等のお金をもらった日の属する年の1月1日に20歳以上であること
③お金をもらった年の合計所得金額が2,000万円以下であること
④贈与税の居住無制限納税義務者又は非居住無制限納税義務者に該当すること
 (あげた人又はもらった人のお金をあげたときの住民票の住所が日本に
  ある場合にはいずれかに該当します)
⑤贈与税の期限内申告書を提出すること
 ※贈与税の期限内申告書の提出期限は、もたった年の翌年3月15日ですが、
  その3月15日を一日でも過ぎてしまうと、他の要件の全てを満たして
  いてもこの制度の適用を受けることはできません!

住宅用の家屋の新築又は取得をした場合の要件
①新築又は取得をした住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの
 区分所有建物の場合はその占有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ
 その家屋の床面積の1/2以上に相当する部分がお金をもらった人の居住の
 用に供されるものであること
②取得をした住宅用の家屋が次のいずれかに該当するものであること
 ・建築後使用されたことのない住宅用の家屋
 ・建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内
  (防火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
 ・その他にもありますが、細かすぎるので省略します

その他の要件
①贈与を受けた年の翌年3月15日までに購入・新築・増改築等を行なった物件の
 代金決済・引き渡しを行なって住宅を所有すること
②贈与を受けた年の翌年3月15日までに当住宅に居住すること。又はその後
 遅滞なく入居することが確実であると見込まれること
 (翌年の年末までに入居しない場合、この制度は適用されず贈与税の
  修正申告・納付をしなければいけません)

非課税限度額

この制度の非課税限度額は、家屋の種類(省エネ住宅等であるか)、契約締結日、
消費税率等によって異なります。契約締結日とは家屋の建築するための請負
契約等の契約締結日です。省エネ住宅等というのは省エネ等基準に適合する
ことを証明された住宅のことです。

①下記表②以外の場合
 住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日
省エネ住宅等左記以外の住宅
平成28年1月1日から令和2年3月31日まで1,200万円700万円
令和2年4月1日から令和3年3月31日まで1,000万円500万円
令和3年4月1日から令和3年12月31日まで800万円300万円
②家屋の新築等に係る対価に係る
 消費税率が10%の場合
 住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日
省エネ住宅等左記以外の住宅
平成31年4月1日から令和2年3月31日まで3,000万円2,500万円
令和2年4月1日から令和3年3月31日まで1,500万円1,000万円
令和3年4月1日から令和3年12月31日まで1,200万円700万円

※個人間の売買で、建築後使用されたことのある住宅用の中古住宅を取得する
 場合には、原則として消費税がかからないので上記表②に該当せず①の非課税
 限度額が適用されます。

その後の相続 小規模宅地等

父が土地を持っていて、その土地に父が資金援助(住宅取得資金等贈与の
非課税を使う)して子名義の家を建築したとします、その後父が亡くなり相続が
発生した場合には、父名義の土地に建築した家に父と子が同居していない限りは
その土地については相続時の小規模宅地等の特例は使えないこととなります。
小規模宅地等の特例については別の機会で触れたいと思います。

おわりに

この制度は土地を持っている又は購入して、祖父母・父母に住宅建築費を
負担してもらう場合は有効でしょうが、祖父母・父母名義の土地に援助して
もらい住宅建築する場合は相続発生時には小規模宅地等の特例の適用は
受けられないため、相続税の納税が多くなる可能性があります。
将来の相続時までのシュミレーションが大切だと思います。
なお、この制度は相続時精算課税でも使えます。

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