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居住用建物(住宅)を貸付けた場合、消費税課税区分は非課税
ですが、令和2年度税制改正で内容が若干変更となりました。
下記改正後の取り扱いですが、
令和2年4月1日以後に行われる住宅の貸付けについて適用されます。
改正内容(根拠法令)
国内取引に関する消費税の非課税となる取引は、
13項目の限定列挙です。
その根拠法令ですが、消費税法第6条と別表第一です。
他、内容を補足する基本通達、という構成です。
(非課税)
第六条
e-Govより
国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。
2 保税地域から引き取られる外国貨物のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。
別表第一(第六条、第十二条の二、第十二条の三、第三十条、第三十五条の二関係)
十三 住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合(当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合を含む。)に限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
e-Govより
実際に改正があったのは別表第1-13ですが、非課税の第6条を見ないと
つながらないと思うので第6条も載せています。
別表第1-13、太字の箇所が令和2年税制改正でつけ加えられました。
改正前の住宅の貸付け(貸付期間1月以上)は、
住宅の貸付けに関する契約内容で「居住用」と明記があれば
消費税法上非課税、明記がなければ課税、の取り扱いでした。
今回の改正では、契約内容(形式)だけではなく住宅の実際の
用途も加味して非課税、課税の判断をする、ということに
なりました。
具体的には、契約内容に「居住用」と明記がない場合、
改正前では全て課税となっていましたが、
改正後は賃借人(個人)が物件を事務所などの用途に使用している
ことを賃貸人が把握している場合は非課税、
把握していない場合は課税、となります。
なお、契約内容に「居住用」と明記がない場合ですが
住宅を居住用又は事業用どちらでも使用することができる
こととされている契約も含まれます。
コトバでツラツラ書いてもわかりずらいと思うので
具体例を見てみましょう。
改正前(令和2年3月31日までの住宅の貸付け)の具体例
![](https://kanamoto-blog.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-02-16.35.32-1024x838.png)
AがBに住宅を貸している(1月以上)、家賃は1月10万円とします。
契約書に居住用の明記がある場合
賃貸人Aは家賃をもらう側、
毎月10万円の家賃収入は、消費税法上「非課税売上」
になります。
賃借人Bは家賃を払う側。
10万円の支払家賃は、消費税法上「非課税仕入」になります。
契約書に居住用の明記がない場合
賃貸人Aに関する毎月の家賃収入10万円は、
消費税法上「課税売上」になります。
賃借人Bに関する毎月の支払家賃10万円は、
消費税法上「課税仕入れ」になります。
改正前は契約内容が全てだった
改正前は、契約書に「居住用」と明記されていれば非課税、
明記がなければ「課税」という消費税の取り扱いでした。
実際には事務所として使っていても契約書で「居住用」の
明記があれば非課税、契約上の形式での判断でした。
改正後(令和2年4月1日からの住宅の貸付け)の具体例
![](https://kanamoto-blog.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-02-16.35.32-1-1024x838.png)
上記「改正前」と同じ前提です。
AがBに住宅を貸している(1月以上)、家賃は1月10万円とします。
契約書に居住用の明記がある場合
改正前と同じ取り扱いです。
賃貸人Aに関する毎月の家賃収入10万円は、
消費税法上「非課税売上」になります。
賃借人Bに関する毎月の支払家賃10万円は、
消費税法上「非課税仕入れ」になります。
契約書に居住用の明記がない場合
B(個人)が物件全てを事務所等の用途に使用していることをAが把握している場合
賃貸人Aに関する毎月の家賃収入10万円は、
消費税法上「課税売上」になります。
賃借人Bに関する毎月の支払家賃10万円は、
消費税法上「課税仕入れ」になります。
B(個人)が物件を事務所等の用途に使用していることをAが把握していない場合
賃貸人Aに関する毎月の家賃収入10万円は、
消費税法上「非課税売上」になります。
賃借人Bに関する毎月の支払家賃10万円は、
消費税法上「非課税仕入れ」になります。
実務上は、賃貸人が賃借人に貸している全ての住宅の用途
(事務所等に使ってないか)を把握するのは難しい気がするので、
非課税での処理が多くなるような気がします。
改正後は実質で判断する
改正後は契約書に居住用と明記がない場合、
賃借人Bが実際にどんな用途で使っているか、
賃借人Bが例えば事務所等として使っていた、
その事実を賃貸人Aが把握しているかいないかで
課税か非課税かの判断をします。ややこしい・・・
おわりに
一番注意が必要だと思うのが、サブリース契約取引を行っている
消費税の課税事業者かと。転貸とかも絡むのでこれまたややこしいです。