消費税の中間申告をし忘れたら無申告加算税が課されるようになるかも 令和3年税制改正大綱

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2020年12月に令和3年税制改正大綱が発表されました。
消費税については改正はほぼほぼないのですが、
気になるものが1つありました。

それは、「消費税の中間申告書の提出を要しない場合の特例について
規定の削除を行う」とあったことです。
これは消費税第44条の「中間申告書の提出がない場合の特例」の
ことだと思われます。この規定が廃止になるとどうなるのでしょうか。

「中間申告書の提出がない場合の特例」の内容

この規定、以下のようになっています。

(中間申告書の提出がない場合の特例)

第四十四条 中間申告書を提出すべき事業者がその中間申告書をその提出期限

までに提出しなかつた場合(第四十二条第十一項の規定の適用を受ける場合を

除く。)には、その事業者については、その提出期限において、税務署長に

同条第一項各号、第四項各号又は第六項各号に掲げる事項を記載した

中間申告書の提出があつたものとみなす。

e-Govより

内容は、消費税の中間申告をしないといけない事業者が
その中間申告をし忘れても申告をしたものとする、というものです。
中間申告を行う必要はない、という意味です。

44条のカッコ書きは中間申告をする義務がない事業者
(前課税期間の国税部分の消費税額が48万円以下)が届出書を
提出して自ら消費税の中間申告をする事業者になったが
中間申告書を提出しなかった場合です。
本日のブログの本題とは関係ないので詳細は省きます。

なお、法人税法にも同じような規定(法人税法第73条)が
ありますが、こちらは廃止されないようです。

「中間申告書の提出がない場合の特例」が廃止される意味

消費税の中間申告納付、多くの事業主は納付は当然しているが、
申告自体はしていないケースが多いと思います。
消費税法第44条があるので申告していなくても申告したものと
みなされるので納付だけで現状は全く問題ありません。

でも、この規定が廃止されると納付だけではダメで中間申告も
しないといけなくなります。
もしこの規定廃止後に消費税の中間申告書を提出する必要がある
事業者が納付だけして中間申告をしなかった場合、
「無申告加算税」の対象となってしまうと思われます。
「無申告加算税」とは、法律で定められた申告期限までに必要な
申告を行わなかったときに課される罰金です。
消費税の中間申告をしなかった場合の無申告加算税は恐らく5%に
なると思われます。この5%、かなり痛いと思います。
消費税の中間納付額が100万円であれば5万円、300万円であれば
15万円です。この無申告加算税の納付額は、法人の経費には
ならないので、ただお金が出ていくだけです。

法人税の同じような規定は廃止せずに、消費税だけ廃止するのは
どうかと思います。法人税は赤字だと納付税額は発生しませんが
消費税については赤字でも納付税額が発生することがほとんどです。
なので法人税の中間申告が必要となる事業者よりも、消費税の
中間申告が必要となる事業者のほうが多いと思います。
消費税の中間申告に係る納付をしっかり行っている事業者は
問題ないと思いますが、消費税の中間申告の対象となる事業者で
その税金を払うことすら苦しい資金繰りに苦しんでいる事業者には
酷だと思います。
というのは、消費税の中間納付額を払えない事業者がわざわざ
その申告だけするかと考えるとそうは思えません。
また、新型コロナで減少した売上回復、資金繰りに頭がいっぱいだと
思うので、うっかり中間申告が無申告になってしまうことも大いに
考えられます。そして税務署から無申告加算税の通知が届く・・・
何でこの時期に、消費税法第44条を廃止しようとするのか、
疑問しかありません。
個人的には新型コロナによる税収の減少分を目立たない形で
取り戻そうとしているのかな、と思ってしまいます。

ただし、消費税法第44条の廃止は令和3年の税制改正大綱ベース
での話なので、当然まだ決定ではありません。
税制改正法案に入らないことを祈るばかりです。

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