質問検査権とは
質問検査権とは、税務調査等の際に調査官が納税者に対して
その税務調査に関する質問や調査をする権限のことです。
この「調査をする権限」ですが、その税務調査に関わるものに
限られるので関係ない資料等は一切開示する必要はありません。
例えば、会社の税務調査で会社と社長とのお金の貸し借りの取引に
ついて調査官が疑問を抱いた(売上抜いている?)とします。
会社の通帳はその会社の税務調査なので見せろと言われれば
見せなければいけません。
今回はその調査官が質問検査権を使い会社口座入金に関係する
社長個人の通帳を見せろと言ってきたとします。
社長個人の銀行口座はプライベートなので見せなくてもいい、と思う
かもしれませんが、調査官は会社の売上を社長の個人口座に入金させ
(会社の売上として計上していない)それを社長からの借入金として
会社に入金したかも、と会社の脱税を疑ったものです。
なので、ゴネても最終的には見せなければいけなくなるでしょう。
でも、それでも頑なに社長が開示を拒否したとします(現実では
今回の例は税務調査の一環なので拒否できないと思います。架空です)。
そうすると調査官は質問検査権を使い金融機関に口座情報の開示を
請求することができます。遅かれ早かれ口座情報は調査官に手に
渡ってしまいます。
ちなみに、この「質問検査権」の根拠法令は、
国税通則法第74条の2(所得税法、法人税法、消費税法)、
国税通則法第74条の3(相続税法)
です。税理士を目指している方には是非読んでいただきたいです。
この質問検査権を使って税務調査の際に会社のパソコンの中身を
自分で操作して見ようとする調査官もいます。会社のパソコンには
税務調査の対象となる資料以外に会社の大事な情報(税務調査とは
関係ない)が入っているので拒否できると考えます。
目的なしにメールを全部抜き取ろうとする調査官もいます。
税務調査に関係ないメールも当然含まれていますので
これも拒否できると考えます。
拒否できない場合としては、取引確認の目的のために該当メールを
提出しろと言われた場合が考えられます。
税務調査はあくまでも「調査」で犯罪などの「捜査」ではありません。
「捜査」になると話は変わります。
半沢直樹2、箕部の場合だと
半沢達は箕部の不正を暴くため隠し口座を突き止めたい。
そこで隠し口座がある銀行(UAE銀行)を特定したあと
箕部により国税庁に島流しされた黒崎が上記の「質問検査権」
(名目は恐らく箕部に関する所得税の脱税調査)を使い
箕部の隠し口座のデータをゲットして最終的には箕部の不正は
暴かれる、という展開でした。調査というよりは犯罪捜査の色が
濃いものです。
でもちょっと気になる点があります。
東京中央銀行が債権放棄するかしないかの記者会見30分前に
箕部の隠し口座がある銀行と支店を突き止め、短時間で黒崎が
「質問検査権」を使い隠し口座の情報を手に入れる、
現実ではそうは簡単にいかないと思います。
しかも日本支店とはいえ外国の銀行ですし。
ちょっと気になりました。
おわりに
税務調査などでお困りの方がいらっしゃれば
ご連絡いただければ、と思います。