会社の税務・労務の年間スケジュールについて、ざっくりまとめてみました。
前提として3月決算、消費税の予定納税は年1回、
賞与は年2回の支払(7月と12月)とします。
1月
市区町村に給与支払報告書の提出
給与支払報告書とは、地方税である住民税の書類です。
提出期限は1月31日。この書類を基に6月以降1年間の
従業員に係る特別徴収する住民税の金額が決まります。
税務署に法定調書の提出
法定調書は、法律により提出が義務化されている書類です。
合計表、給与所得の源泉徴収票、報酬等の支払調書等がその内容であり、
これらの書類を作成して税務署に提出します。
提出期限は1月31日です。
都税・県税事務所に償却資産税申告書の提出
償却資産税とは、固定資産税の一種で、事業用の減価償却資産が
対象となります。1月1日現在の償却資産の所有者に対して
その償却資産の所在地の市町村(東京23区は特例で東京都)で課税されます。
土地・建物には固定資産税がかかり、自動車には自動車税が課税されるので、
それらは対象外です。提出期限は1月31日です。
1月の納付
・12月分源泉所得税の納付
・7〜12月分源泉所得税の納付(納期の特例の場合)
・12月分住民税の納付(特別徴収分)
・12月分社会保険料の納付
・労働保険料第3期分の納付(延納の場合)
2月
2月の納付
・1月分源泉所得税の納付
・1月分住民税の納付(特別徴収分)
・1月分社会保険料の納付
・固定資産税第4期分の納付
3月
決算に係る在庫の棚卸
3月31日に棚卸資産、貯蔵品などの棚卸を行います。
決算に直結するので重要です。
3月の納付
・2月分源泉所得税の納付
・2月分住民税の納付(特別徴収分)
・2月分社会保険料の納付
4月
4月の納付
・3月分源泉所得税の納付
・3月分住民税の納付(特別徴収分)
・3月分社会保険料の納付
5月
税務署・都税県税事務所に会社の確定申告書の提出、法人税・消費税・都民税県民税市民税の納付
3月末決算の会社は、基本その決算日から2ヶ月以内(5月31日まで)に
税金の申告・納付をします。会社の1年間の業績の確定、
それを基に税金を計算しますのでとても重要です。
5月の納付
・4月分源泉所得税の納付
・4月分住民税の納付(特別徴収分)
・4月分社会保険料の納付
・決算に係る法人税・地方法人税・消費税・都民税などの納付
6月
労働保険の年度更新と申告・納付
労働保険とは、一定の要件を満たす従業員を雇っている企業が
必ず加入しなければいけない保険です。この保険は企業によって
毎年年払いされており、毎年行う労働保険料の申告と納付が
労働保険の年度更新です。
年度更新の申告・納付期限は、6月1日から7月10日までです。
年金機構等に社会保険の算定基礎届の提出
社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)は、会社と従業員で折半です。
その保険料は、標準報酬月額により決まりますが、実際の報酬額と
かけ離れることがないように年ごとに行われる見直しの手続きです。
提出期限は、7月10日です。
6月の納付
・5月分源泉所得税の納付
・5月分住民税の納付(特別徴収分)
・5月分社会保険料の納付
・固定資産税第1期分納付
7月
日本年金機構等へ賞与支払届の提出
社会保険に加入している従業員に賞与を支払ったときは、
その賞与の支払日から5日以内に日本年機構等に賞与支払届を
提出しなければいけません。その書類により賞与に係る
社会保険料の金額が決まります。
7月の納付
・6月分源泉所得税の納付
・1〜6月分源泉所得税の納付(納期の特例の場合)
・6月分住民税の納付(特別徴収分)
・6月分社会保険料の納付
・労働保険料全納又は第1期分の納付(6/1から7/10まで)
8月
8月の納付
・7月分源泉所得税の納付
・7月分住民税の納付(特別徴収分)
・7月分社会保険料の納付
9月
9月の納付
・8月分源泉所得税の納付
・8月分住民税の納付(特別徴収分)
・8月分社会保険料の納付
・固定資産税第2期分の納付
10月
10月の納付
・9月分源泉所得税の納付
・9月分住民税の納付(特別徴収分)
・9月分社会保険料の納付
・労働保険料第2期分の納付(延納の場合)
11月
11月の納付
・10月分源泉所得税の納付
・10月分住民税の納付(特別徴収分)
・10月分社会保険料の納付
・法人税、消費税、事業税等、都民税の予定納税
12月
年末調整
従業員が1~12月の1年間にもらった給料から源泉徴収された
所得税の合計は、年間にもらった給料の合計から計算した所得税と
異なることがほとんどです。その精算を行うのが年末調整です。
日本年金機構等へ賞与支払届の提出
7月の賞与支払届の提出と同じ内容です。
12月の納付
・11月分源泉所得税の納付
・11月分住民税の納付(特別徴収分)
・11月分社会保険料の納付
おわりに
3月末決算の中小企業で税務・労務関係で繁忙期になるのは、
1月、3〜5月、12月です。
大会社だと申告期限延長の申請書を提出して確定申告の申告・納付期限を
1月(連結納税の場合は2月)延長している場合が多いので6月も多忙です。
繁忙期に他の仕事を入れたくないと誰しもが思うと思います。
計画第一です。