休業手当の課税関係と雇用調整助成金の収益計上時期

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新型コロナの影響により仕事が少なくなり従業員の方に
休業手当を支払い雇用維持を図るため雇用調整助成金の
申請をした会社は多いと思います。

休業手当と雇用調整助成金の税務上の取扱いについてです。

従業員に支払う休業手当の課税関係

新型コロナウィルスの感染拡大により事業活動の縮小を余儀
なくされた事業者は、事業主が従業員に支払った休業手当の額に
応じて雇用調整助成金を国から受け取ることができます。
この休業手当は労働基準法第26条の休業手当のことです。

まずは事業主が従業員に支払う休業手当、この税務上の取扱いは
通常支払う給料と同じで「給与所得」になります。
なので、休業手当を支払った場合には源泉徴収が必要になります。

ちなみに、休業手当と似たコトバで「休業補償」というのがあります。
この「休業補償」は労働基準法第76条に規定されており、
労働者が業務上の負傷等により受ける療養のための給付等、のことです。
具体的には、労災保険から受取る休業補償などが該当します。
この「休業補償」は所得税法で非課税の取扱いです。

雇用調整助成金の収益計上時期

会社が上記の休業手当を支払い国に雇用調整助成金の申請をしたとします。

この雇用調整助成金の収益計上時期はいつになるのでしょうか?

結論は、休業の事実があった日の属する事業年度に収益計上します。
その事業年度終了時に給付される金額が決定していない場合でも
見積もりで計上しなくてはいけません。
助成金が入金された日ではありません。

休業の事実があった日の属する事業年度に収益計上とは、
例えば、8月と9月に従業員に休業手当を支払った分の雇用調整助成金は
・8月に支払った休業手当に係るその助成金は8月に収益計上
・9月に支払った休業手当に係るその助成金は9月に収益計上
ということになります。

休業手当の支払いと雇用調整助成金の受け取りが同じ期であれば
問題ないと思いますが、
注意が必要なのは、休業手当の支給時期と雇用調整助成金の受け取りが
事業年度をまたぐ場合です。
例えば、9月末決算法人が令和2年8月と9月に支払った休業手当の支払いに係る
雇用調整助成金の申請を決算後の10月に行ったとします。
申請を行ったのが決算後なので、令和2年9月期には収益計上しなくも
いいのでは?と思われるかもしれません。
その申請が決算後でも、令和2年8月と9月に支払った休業手当に係る
雇用調整助成金は令和2年8月と9月(令和2年9月期)に見積もりで
収益計上しなければいけません。
これは、給料(休業手当)という損金と雇用調整助成金という益金を
同じ期に対応させるためです。

ちなみに、この根拠法令等が法人税法基本通達2-1-42ですので
参考に載せておきます。

(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)

2-1-42 法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費をするために雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。(昭55年直法2-8「六」、昭59年直法2-3「一」、昭63年直法2-14「一」、平12年課法2-7「二」、平23年課法2-17「四」、平30年課法2-28「二」により改正)

(注) 法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

※国税庁HPより

おわりに

新型コロナの感染拡大のより、税務調査は休止されていましたが
10月より再開されたようです。

税務調査が入ると、上記の休業手当(給与所得)から源泉しているか、
雇用調整助成金の収益計上に漏れはないか、はチェックされますので
自社の処理を今一度確認していただければ、と思います。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

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