消費税、簡易課税を選択する場合の判断は慎重に

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原則、2期前(2年前)の消費税の売上が1,000万円を超えると
その期は消費税を納める事業者となります。

消費税の税額の計算方法は大きく分けて2種類(もう1種類ありますが
特殊な計算なので割愛します)あり、そのどちらかわ選ぶかで税額が
変わります。

消費税の計算方法、一般課税と簡易課税

一般課税と簡易課税について簡単にザックリ説明します。

一般課税

一般課税は1年間に預かった消費税額(仮受消費税)から、
支払った消費税(仮払消費税)を差し引いて納税する方法です。
支払った消費税ほ方が多ければ還付となります。
下述の簡易課税制度選択届出書を提出しない場合には
消費税の計算方法は一般課税での計算になります。


簡易課税

簡易課税は支払った消費税額は無視して、売上と業種ごとに
決められた一定率(みなし仕入率)をもとに消費税額を計算する方法です。
簡易課税で計算した場合は還付は絶対に発生しません。

簡易課税は2期(2年)前の消費税の売上が5,000万円以下であること、
「簡易課税制度選択届出書」という書類を前期(前年)中に
所轄の税務署に提出すること、がその期から適用する要件になります。

2期(2年)前の消費税の売上が5,000万円を超えると、その届出書を提出
していても簡易課税は適用できず強制で一般課税で消費税額を計算しなければ
いけません。

なお、簡易課税を適用するには上記のとおりその届出書を前期中に
提出しなければいけませんが、「コロナ特例」たるものがあり
一定要件に該当するば当期から簡易課税を選択する・やめることが
できます。この件は以前のブログに書いてますのでリンクを貼っときます。
参考にしていただければ。

簡易課税制度を適用するには〜基本的考え方 当期に一般課税→簡易課税に変更する 当期に簡易課税→一般課税に変更する


簡単な計算例

サービス業を営んでいて、
売上(預かった)消費税額が1,000円、
仕入(支払った)消費税額300円、だったとします。
サービス業だとみなし仕入率が50%です。

一般課税だと
1,000円ー300円=700円、が納税する消費税額

簡易課税だと
1,000円ー(1,000円×50%)=500円、が納税する消費税額

この例だと200円(≒28.6%)簡易課税の方がお得です。
一般課税の納税額は簡易課税の1.4倍になります。
実際の計算はもっと金額が大きくなるので1.4倍は
結構な金額差になるでしょう。

簡易課税を選択する場合、何を判断基準にするのか

簡易課税を選択すると2期(2年)前の消費税の売上が5,000万以下なら
2期(2年)は簡易課税が強制適用になります。
なので簡易課税を選択する場合は慎重な判断が必要です。

私が簡易課税を選択する場合の判断基準は、
・原価が発生する業種か
・過去の実績
・今後の設備投資の予定
・売上に対する人件費の割合
・あまり変わらない場合は一般で
こんな感じです。あくまでの個人的な判断基準です。

「原価が発生する業種か」ですが、原価が発生しない業種は
簡易課税の方が有利になりやすい傾向にあります。

「過去の実績」ですが、消費税の計算方法が原則課税のお客さんでも
売上が5,000万円以下であれば決算時に簡易課税でも消費税額を計算します。
当然それよりも前に有利不利判定はしていますが結果確認、という
意味あいが大きいです。

「今後の設備投資の予定」ですが、設備投資をするということは
多額のお金の支払いが発生するので支払う消費税額も多くなります。
簡易課税で消費税を計算する方が有利なので現状は簡易課税を選択
している、という場合を例にとってみましょう。
この設備投資を行う期は一般課税で計算した方が税額が少なくなる
可能性が上がります。ただ忘れてはならないのは簡易課税は2期(2年)は
強制適用だということです。設備投資した期は一般課税が有利でも
翌期は簡易課税の方が有利に戻ることも考え2期(2年)トータルで
有利不利判定をする必要があります。

「売上に対する人件費割合」ですが、計算式はこんな感じ。
人件費(給料、法定福利費)÷売上=人件費割合
人件費(給料、法定福利費)の支払いには消費税が含まれていません。
その割合と自社の(1ーみなし仕入率)を比較して有利不利判定をします。
その割合が小さい方が有利(税額が少なくなる)、ということです。
なお、この割合での判定は予算を使い判定するのがいいかと
思います。過去分は一般・簡易の両パターンの消費税額を計算すれば
わかります。あくまでも将来の予想ですので。

「あまり変わらない場合は一般で」ですが、一般課税だと仕入(支払った)
の消費税の方が多いと還付を受けられます。簡易課税には還付はありません。
今回のコロナがいい例で、世の中何が起きるかわかりません。
将来の予測はしますが、その予測どおりいくことの方が少ないのかな、
と思いますので。

簡易課税の方が有利になりやすい業種

不動産賃貸業、士業(弁護士、税理士、社会保険労務士など)、先生業は
原価が発生しないので簡易課税の方が有利になりやすいです。

不動産賃貸業を営んでいる会社、個人事業主の方で消費税を納める事業者に
該当する方は今まで私が見てきた限りほぼほぼ簡易課税を選択しています。
新たに不動産を買うときは簡易をいったんやめるか、の検討は当然必要です。

おわりに

消費税は税理士の損害賠償が一番多い税法です。
平成元年からスタートした日本では新しい税法なので
税理士によってその知識差が大きいです。

消費税に詳しい税理士をお探しであれば連絡いただければ、
と思います。当事務所では消費税に詳しい、実務経験が豊富な
代表税理士が必ず直接担当いたします。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

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