工場等で使われている冷蔵庫等は、機械装置か?器具備品か?
平成30年に大阪地裁での判例があったのでそれを基に見て
いきたいと思います。
概要
K社は製造業で、製造工場及び店舗に併設された工房で食品製造に使用
している冷蔵庫、冷凍庫、保管庫等を器具備品として減価償却していたが、
税務調査が入り、器具備品ではなく機械装置だろ、と指摘されました。
冷蔵庫の器具備品の耐用年数は6年、機械装置だと10年(食料品製造業用
設備)となり、機械装置の方が耐用年数が長いので、減価償却費を
多く計上しすぎ(否認)という税務署の主張です。
機械装置とは?
機械装置とは、「製品の生産・製造又は役務の提供と目的として
1つの機械が単体で、又は2つ以上の機器が有機的に統合することにより
1つの設備を構成する有形資産」 これが機械装置だそうです。
ちょっとわかりにくいですね。
製造業者が製品を製造するための設備が機械装置、
といったとこでしょうか。
大阪地裁の判決
本件各機器は、それぞれ工程の一部を分担し、ある機器のよる作業成果を
前提に次の工程を担当する機器による作業が行われており、これらの機器
による作業成果を前提として、反復継続的な製造工程が実施されている、
各製造業における各機器の設置状況は、各機器が互いに近接した場所に、
製造工程に沿った作業が効率的に可能となるよう配置されていることが
認められる。以上の事実から本件各機器は、有機的に結合し一体となって
反復継続的に製造しているものだから「機械装置」に該当する。
私の見解
製造業社が製品を製造するための設備が機械装置、という認識でした。
この判例は、それを明確にしてくれました。
その設備がどのように使われているのかを確認しないと
間違ってしまうので、事実確認は大事だということを再認識しました。
税額控除(中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除)
取得価額が160万円以上の機械装置であれば、税額控除(中小機械装置)の
適用ができます。その法人の資本金が3,000万円以下であること、などの
要件を満たしていればの話ですが。
ただ、この税額控除はその機械装置を取得した事業年度の確定申告で
手続きをしないといけません(当初申告要件というものがある)。
遡っては適用できないものになります。
今回の場合だと適用できない、ということになります。
おわりに
製造業以外の業種で冷蔵庫は器具備品で問題ないです。
製造業だと、製造ラインに使われていたら機械装置、
製造ライン以外に使われていたら器具備品となります。
その冷蔵庫が実際にどういう風に使われているかの
事実確認が大事ですね。