還付申告とは、その名の通り、確定申告することにより税金(所得税)が
返ってくる申告のことです。
この還付申告は、申告の対象となる年の翌年1月1日から5年間
することができます。R1年分の還付申告であれば令和6年12月31日まで
することができます。
R1年分より前の年の還付申告もすることができ、今日現在(令和2年2月25日)
還付申告ができる一番古い年は、平成27年分となります。この平成27年分の
還付申告の申告期限は、令和2年12月31日となっています。
前年以前の株売買の特定口座(源泉あり)について損失が出た過去の年分の確定申告をしていなかった場合
前提
・平成29年から株売買の取引を特定口座(源泉あり)で行っていた
・平成29年分と平成30年分の株売買取引のトータルで損失だったが、その損失の繰越の確定申告をしなかった
・令和1年の株売買取引で利益が出たので、平成29年分と平成30年分の損失繰越の確定申告をして、令和1年分の株売買取引の利益に対しての還付申告をしたい
とします。
結論
還付申告できません。
平成29年分と平成30年分の株売買の損失繰越の確定申告は、各年分の
申告期限までしないといけませんでした。なので過去2年分の損失は
確定申告していなので、令和1年分の株売買取引の利益と相殺する
ことはできません。
なぜかというと、特定口座(源泉あり)の株売買の課税は、分離課税と
いうもので行われており、原則その売買利益に係る税金については、
売ったときに源泉されて、課税はすでに終了しています。
株を売った人は、あらためて確定申告する必要がないということです。
ただ、損失が出た場合には、確定申告することによりその損失を
翌年以降3年間繰り越せます。その人が申告するかしないか選択する
ということになります。損失繰越の申告を申告期限までにしなかった
場合は、申告しないということを選択したことになります。
平成29年分と平成30年分の損失繰越の申告はもうできない、
ということなので、令和1年分の還付申告もできません。
前年以前の特定口座(源泉あり)の配当所得、総合課税で配当所得のみを申告して還付申告したい
前提
・平成30年から株売買を特定口座(源泉あり)ではじめた 配当金も特定口座に入金となっていた
・平成30年分は、株売買で利益が出ていたので、確定申告しなかった
・平成30年分の確定申告の申告期限後に、特定口座の配当所得だけを抜き出し総合課税で申告したら、税金が返ってくることがわかった
とします。
結論
還付申告できません。
理由は、上記の株売買の損失繰越の場合と同じです。
特定口座(源泉あり)での取引は、取引時に課税が終了しています。
申告期限までに申告しなかったので、申告しないことを選択した
ということになります。選択適用のものは、還付申告の対象とは
なりません。
前年以前の医者の確定申告、概算経費(措法26条)で更正の請求をしたい場合
更正の請求とは、一度確定申告した方が、申告期限後にその申告に
間違いがあったことに気づき納付した税金が多すぎたこと等により、
納税者の方自らが行う税金の還付等の手続きになります。
更正の請求の対象となるのは、当初申告で納めた税金が多すぎた場合、
還付される税金が少なすぎた場合、繰越損失の金額が少なすぎた場合、です。
更正の請求は、原則として申告期限から5年間することができます。
前提
・平成30年の確定申告で、実額経費を使い確定申告をしていた
・社会保険診療報酬が5,000万円以下だったので、その申告期限後に概算経費を使い所得を計算したら、その方が有利だった(所得が少なくなる)
とします。
結論
更正の請求はできません。
上記の株売買の特定口座(源泉あり)と考え方は同じです。
実額経費を使うか概算経費を使うかは、その人が選択することと
なります。今回は、その人が実額経費を使うことを選択した、という
ことになります。選択適用のものは、「当初した申告が間違っていた」
ということにはならないので、更正の請求はできません。
前年以前の住宅ローンを申告していなくて、還付申告したい場合
前提
・平成30年に住宅をローンで購入した
・住宅ローン控除の適用を受けるための要件は満たしている
・平成30年分の確定申告を忘れてしまった
とします。
結論
住宅ローン控除の場合は、還付申告できます。
平成30年分の還付申告の期限は令和5年12月31日となります。
それまでは申告OKです。
ただ、平成30年分の住宅ローンの還付申告をしないと
令和1年以後の住宅ローンの還付申告もできませんので、
今回の申告で、平成30年分と令和1年分の両方を申告して
しまった方がいいでしょう。
おわりに
還付申告については、以前ブログに書いているので
もしよろしければ、ご参考にしてください。