売上はいつ計上する?モノを引き渡したとき?お金をもらったとき? 「売上計上基準」

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事業を営む上で「売上」は、とても大事です。
売上がないと従業員の給料・家賃などの支払いもできません。

今日のブログは、この大事な売上計上時期(いつ計上するか)に
ついてです。

なお、2021年4月から大企業は新しい売上計上基準の
「収益認識に関する会計基準」が強制適用になりましたが、
中小企業(監査対象法人以外)は、今までの売上計上基準(企業会計原則)
での処理が認められますので、多くの中小企業は今まで通りかと
思いますので、中小企業(監査対象法人以外)の今まで通りの
売上計上基準を前提にさせていただきます。

法人税法上の売上計上時期についても、場合によっては会計とズレる
場合もありますが、ほぼほぼ一緒です。今日のブログの内容は、
会計と税務(法人税、会社)でその時期がズレないものです。

「収益認識に関する会計基準」は後日のブログで記事を書くつもりです。

モノ(商品)を販売する、サービスを提供する

モノ(商品)を販売する、サービスを提供する、この2つの売上計上時期を
見ていきましょう。

モノ(商品)を販売する

物理的なモノ(商品)を販売する代表としては、卸売業・小売業・製造業
などがあります。

この「モノ(商品)を販売する」場合の売上計上基準ですが、
「そのモノを相手方に引渡した日」が売上を計上する日、となります。

例えば、モノを相手方に引渡した日が7月1日、その売上代金の入金が
8月31日だとします。仕訳で考えると、
・7月1日  売掛金×××/売上×××
・8月31日 現金預金×××/売掛金×××
となり、7月1日が売上を計上する日、ということになります。

ただし、小売業(コンビニなど)で現金での支払い(最近は
少なくなってきているとは思います)の場合、モノ(商品)を
相手方に引渡した日と入金日が同じです。
8月31日にコンビニがモノを売った(現金売り)場合の仕訳は、
・8月31日 現金×××/売上×××
となり、8月31日が売上を計上する日、となります。

ちなみに上記「引渡しの日」とは具体的には次の日となります。
・モノを出荷した日(出荷基準)
・相手先にモノが到着した日(到着日基準)
・相手先が検収した日(検収基準)
・検針等により販売数量等を確認した日(検針日基準)
 ※電気、ガス、水道等の販売する事業者限定

これらの中から、商品等の種類・性質・契約内容等によって
合理的なものを選択し、これを継続適用します。
一般的には、出荷基準か検収基準を採用している会社が多い
かな、という印象です。

サービスを提供する

モノの引渡しを要しないサービスの提供(役務の提供)を前提とします。
請負工事などのモノの引渡しを要するものは、話が変わってきます。

「モノの引渡しを要しないサービスの提供」の売上計上基準ですが、
「契約に基づく業務の全部が完成した日」となります。

この基準で売上計上するのは、運送、設計、測量、先生業などでしょうか。
私の仕事(税理士業)も一部当てはまります。

例えば、運送業で相手方の荷物を運送したのが7月20日、
その売上代金入金が8月31日だったとします。仕訳は、
・7月20日  売掛金×××/売上×××
・8月31日 現金預金×××/売掛金×××
となり、7月20日が売上を計上する日、ということになります。

売上計上モレがあると・・・

売上計上モレ(売上が抜けている)ケースとして考えられのは、
・入金日に売上計上している
・利益が出ているので「引渡しの日」の計上基準を変えた
場合などでしょうか。

「入金日に売上計上している」ですが、7月分(前期)の売上が100万円、
その入金が8月(当期)だったとします。前提として7月決算の会社とします。
本来であれば7月(前期)に売掛金を相手勘定として100万円を売上計上
しないといけません。
しかし入金日に売上計上しているので、7月分売上丸々売上計上モレと
なり税務調査が入り見つかると(見つかるでしょう)、前期の売上なので
前期分の修正申告をして追加で納税してください、となります。

「利益が出ているので引渡しの日の計上基準を変えた」ですが、
例えば、モノ(商品)を販売する仕事で、今まで出荷基準として
売上計上していたが、当期は多額の利益が出ているので、
引渡しの日の計上基準を出荷基準から検収日基準に変えたとします。
その分は当期の売上が減ることとなります。
上述してますが、引渡しの日の計上基準は余程の理由がない限り
継続適用する必要があります。上記のように「利益が出ているから」
という理由でその計上基準を変更して売上を減らし、税務調査で
見つかると、その変更は認められないこととなり結果、修正申告を
して追加で納税することとなるでしょう。

税務調査の際、売上は100%見られます。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

おわりに

会社(法人)を前提に売上計上時期についての記事でしたが、
個人事業主の場合でもほぼほぼ同じです。

変わってくるケースとしては不動産家賃収入の計上時期などがあります。

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