会社の社有車、3〜5年ごとに買い換えるかと思います。
買い替えたときは、旧車両の売却(下取り金がある場合)と
新車両購入の経理処理が必要となります。
社有車買い替えの経理、消費税の処理には注意が必要です。
前提
・会社の事業年度は4〜3月。
・消費税の課税事業者で経理方法は税抜経理
・2021年1月に会社の社有車を買い替えた。
・旧車両の下取り時の帳簿価額 400,000円
・旧車両のリサイクル預託金 12,500円
・旧車両の下取り金 512,500円(内、リサイクル預託金12,500円)
・新車両の購入金額 1,012,790円
(本体、オプション・付属品、その他諸経費含む)
・下取金は新車両の購入金額に充当する
とします。
実際の経理処理
車両買い替えの仕訳(経理処理)ですが、旧車両売却の仕訳と
新車両購入の仕訳とに分けて考えるとわかりやすいかと思います。
売却の仕訳
借 方 | 金 額 | 貸 方 | 金 額 | コメント |
現 金 | 12,500 | リサイクル預託金 | ||
差入保証金 | 12,500 | リサイクル預託金 | ||
現 金 | 500,000 | 旧車両下取り金 | ||
車両及び運搬具 | 400,000 | 旧車両下取り | ||
仮受消費税等 | 45,454 | 旧車両下取り | ||
固定資産売却益 | 54,546 | 旧車両売却益 |
旧車両の下取り時の帳簿価額400,000円を減額する必要があります。
貸方に車両及び運搬具で400,000円。
下取金500,000円には消費税が含まれているので、
500,000円×0.1/1.1=45,454円を貸方に仮受消費税等とします。
その下取金500,000円と旧車両下取り時の帳簿価額・仮受消費税等との
比較で今回の場合、売却益が出るということになります。
消費税の処理としては、
・旧車両の下取り金500,000円は、消費税の課税売上
・リサイクル預託金譲渡金12,500円は、消費税の非課税売上(有価証券譲渡)
となります。この消費税の処理、間違いが多いところかと思います。
消費税の処理についてまとめると、
下取りで消費税の課税売上となるのは、売却益ではなく
下取り金(今回のケースだと500,000円)、
リサイクル預託金譲渡12,500円は消費税の非課税売上
(有価証券譲渡で対価×5%が非課税売上に計上)となる。
新車両購入の仕訳
借 方 | 金 額 | 貸 方 | 金 額 | コメント |
車両及び運搬具 | ××××× | 新車両本体等 | ||
差入保証金 | ××××× | リサイクル預託金 | ||
租税公課 | ××××× | 自動車取得税・重量税 | ||
長期前払費用 | ××××× | 自賠責保険料 | ||
支払手数料 | ××××× | 検査登録法定費用等 | ||
支払手数料 | ××××× | 資金管理費用 | ||
仮払消費税等 | ××××× | |||
現 金 | 512,500 | 旧車両下取り金 | ||
未 払 金 | 500,290 | 新車両残金 |
旧車両下取金500,000円とリサイクル預託金12,500円との合計
512,500円は新車両の取得金に充当するので、貸方に現金512,500円と
して、新車両購入金1,012,790円との差額が新車両購入残金となり
未払金計上します。
あとは、新車両(借方)の仕訳。
新車両購入金額(諸費用含む)1,012,790円全額が「車両及び運搬具」
として資産計上しなければいけない、ということではありません。
上記仕訳勘定科目ごとに説明していきます。
車両及び運搬具(新車両本体等)
購入時に一括して経費計上できず、その車両の耐用年数に応じて
減価償却費として経費計上していきます。
ちなみに、軽以外の普通乗用車を新車で購入した場合の耐用年数は
6年です。6年間で経費計上していく、ということ。
「車両及び運搬具」に計上しないといけないのは、
車両本体価格、オプション・付属品、納車費用など。
消費税の取り扱いは、課税仕入れ。
差入保証金(リサイクル預託金)
リサイクル預託金を計上します。
私は「差入保証金」勘定を使いますが、人によって正直使っている
勘定科目は違います。資産計上されていれば税務上問題はありません。
リサイクル預託金は、車を廃車にするときの費用の前払いです。
廃車にしたときに経費計上できるもの。
なので車を売ったときは、その預託金も合わせて売る、という
ことになります。
この預託金を売ったときの消費税の取り扱い、金銭債権の譲渡として
非課税売上、となります。非課税売上に計上する金額は、「対価×5%」
となります。
租税公課(自動車取得税・重量税)
自動車取得税・重量税は自動車を取得するとかかる税金。
これらは、車の取得価額に算入しないことができます。
本来であれば、取得経費なので車の取得価額に入れますが、
関税以外の取得に伴う租税公課は経費計上OKですよ、と
税法で認められています。
ちなみに、車の取得価額に入れても全く問題ありません。
消費税の取り扱いは、不課税仕入れ。
長期前払費用(自賠責保険料)
自賠責保険料は新車だと次の車検が3年後なので3年間の保険料を
車購入時に支払う、ということになります。
3年分なので短期前払費用として一括経費計上はできないので、
購入時は長期前払費用として資産計上、決算で当期対応分を経費計上
していきます。
消費税の取り扱いは、不課税仕入れ。
支払手数料(検査登録・車庫証明法定費用)
法定費用の1つです。これらは何チャラ費用という名ですが
印紙代です。なので「関税以外の取得に伴う租税公課」なので
経費計上で問題ありません。
消費税の取り扱いは、非課税仕入れ。
支払手数料(資金管理費用)
リサイクル預託金に関する資金管理費用は、その車両を処分(廃車)
するまでの間に資金管理法人にリサイクル預託金を管理してもらう
ために支払うものです。リサイクル預託金を管理してもらう、という
サービス対価なので、支払い時点で費用計上OKです。
消費税の取り扱いは、課税仕入れ。
まとめ
社有車を買い替えたとき、消費税の取り扱いに注意。
旧車両の残債があるときもちょっと気をつけなきゃいけない。