令和3年4月1日から値札などの商品等の価格表示、消費税込みの
総額表示の義務化が復活しました。
この消費税込みの総額表示義務の内容については以前のブログで
書きましたのでリンクを貼っときます。参考にしていただければ。
消費税込みの総額表示義務、対象になる・ならないで迷うことも
あるかと思います。いくつかのケースで対象になる・ならないを
見ていきたいと思います。
なお、消費税込みの総額表示義務の対象となるケースの基本的考え方
としては、「事業者が不特定多数の者(消費者)に商品等の提供、
サービスの提供を行う場合」に総額表示義務に対象になる、です。
事業者間取引についてはその対象外です。
会員制の店舗等での取引
結論 〜 総額表示義務の対象となる
会員制のディスカウントストア(コストコなど)や
スポーツ施設(スポーツクラブ、ゴルフ場)など会員のみを対象として
商品やサービスの提供を行っている場合、その会員の募集が広く一般を
対象に行われている場合には、総額表示義務の対象となります。
ほとんどの会員制店舗等はその対象になるかと。
対象とならない場合として考えられるのが、例えば年収1,000万円以上の
人しか会員になれないケース、などでしょうか。
一概には言えないので個別判断になるかと。
見積書、請求書、契約書
結論 〜 総額表示義務の対象とはならない
見積書、請求書、契約書は不特定多数の者に対するものではなく
特定の者に対するものなので総額表示義務の対象とはなりません。
ただし、消費者向けの広告・ホームページで「見積り例」として
示す場合、このケースは不特定多数の者に対するものなので
総額表示義務の対象となります。
希望小売価格
結論 〜 総額表示義務の対象とはならない
製造業者、卸売業者、輸入総代理店などの小売業以外の者が、
自己の供給する商品について、いわゆる希望小売価格を設定し、
商品カタログや商品パッケージなどに表示している場合がある。
この希望小売価格の表示は、小売店が消費者に対して行う
価格表示ではないので総額表示義務の対象にはなりません。
でも、小売店で製造業者等が表示した希望小売価格を自店の小売価格
として販売している場合には、その価格が総額表示義務の対象となる。
なので、希望小売価格が税抜価格で表示されているときは、小売店で
税込価格を棚札などに表示する必要があります。
製造業者や卸売業者が小売店や業務用ユーザー向けに作成した商品カタログ
結論 〜 総額表示義務の対象とはならない
製造業者や卸売業者が小売店や業務用ユーザーとの間で行う取引は
事業者間取引となるので総額表示義務の対象とはなりません。
事業者向けデータサービスのパンフレット料金表示〜結果として個人契約者も含まれるケース
結論 〜 総額表示義務の対象とはならない
事業者向けの商品やサービスを提供している場合でも、
結果として、消費者に対する販売が含まれてしまう場合も考えらる。
でも、その商品やサービスの性質が、およそ一般消費者が購入しないものと
考えられる場合には、結果として対事業者取引が100%でなかったとしても
総額表示義務の対象とはなりません。
まとめ
消費税の総額表示義務の対象となるのは、B to C 取引。
B to B 取引は対象とはならない。
商品やサービスの性質がC(消費者)向けでないもので
結果としてC(消費者)への販売が入ってしまったとしても
総額表示義務の対象とはならない。