売掛金回転期間、売上債権回転期間〜資金繰りには重要な指標

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売掛金回転期間、売上債権回転期間は資金繰りの状況を把握する
大事な指標の1つです。特に決算時には必ず確認してほしい指標です。

売掛金回転期間とは?

売掛金回転期間は、売掛金がどのくらいの期間で回収できるかを表す指標で
あり、その期間は月数か又は日数で示されます。

売掛回転期間が短ければ短いほど売掛金を早く資金化できているということで
あり、その分資金繰りも良くなります。

そしてその逆も然りであるため、売掛回転期間を知ることにより、その企業の
資金繰りの状態も把握できるようになる。

算式は以下の通りです。

売掛金回転期間=期末売掛金÷(年間売上÷12ヶ月)

上記算式で12ヶ月を365日で割れば日数での期間を求められる。

売上債権回転期間とは?

売掛金回転期間は、期末売掛金を基に計算しましたが、
売上債権回転期間は、売掛金だけではなく受取手形もプラスして考えます。

算式は以下の通りです。

売上債権回転期間=期末売上債権÷(年間売上高÷12ヶ月)
※期末売上債権=期末売掛金+期末受取手形

上記算式で12ヶ月を365日で割れば日数での期間を求められる。
ココは売掛金回転期間を同じ。

受取手形が入ると売上から回収までの期間は長くなる。

売掛金回転期間、長い・短いでどれくらい資金繰りが変わる?

毎月100万円の売上があったとします。

売掛金回転期間が1ヶ月、2ヶ月の場合1年後どれくらい
お金が残るか比較してみましょう。

売掛金回転期間が1ヶ月の場合

売掛金回転期間が1ヶ月の場合とは、売り上げてから30日後に
売掛金が入金になるということです。

年間売上1,200万円、期末売掛金が100万円だとすると、
売掛金回転期間=100万円÷(1,200万円÷12)=1ヶ月

1年後には1,000万円キャッシュが残ります。

売掛金回転期間が2ヶ月の場合

売掛金回転期間が2ヶ月の場合とは、売り上げてから60日後に
売掛金が入金になるということです。

年間売上1,200万円、期末売掛金が200万円だとすると、
売掛金回転期間=200万円÷(1,200万円÷12)=2ヶ月

1年後には900万円のキャッシュが残ります。
1ヶ月の場合と比べて1年後のキャッシュ残高が100万円少なくなります。

長いスパンで見れば入ってくるキャッシュのトータルは変わらないですが、
毎月の資金繰りのことを考えるとこの100万円は大きいです。

今回は、単純に売掛金の入金額だけの比較ですが、通常は家賃の支払い、
人件費の支払い、仕入代金の支払いなど様々な支払いが毎月発生します。

資金繰りトータルで考えるとこの1ヶ月の入金差額が命とりになることも。
特に、第三者への支払いが送れると信用問題となり、取引を打ち切られる
場合もあるので注意が必要です。

業種別平均売上債権回転期間

以下の数値は国が行っている中小企業実態基本調査(平成30年)から
独自に計算して算出したものです。あくまでも参考です。

・建設業:約1.25ヶ月
・製造業:約2.09ヶ月
・情報通信業:約1.76ヶ月
・卸売業:約1.86ヶ月
・小売業:約0.90ヶ月
・不動産業、物品賃貸業:約0.65ヶ月

売掛金回転率、売上債権回転率

似たようは指標で売掛金回転率、売上債権回転率という指標もあります。

売掛金回転率=年間売上高÷期末売掛金

売掛債権回転率=年間売上高÷期末売掛債権(売掛金、受取手形)

で算出されます。

これらの指標は、低くなるほど売掛金、売上債権の回収に時間がかかる
ことを意味しています。

売掛金回転期間、売上債権回転期間と似ていますが、
個人的には回転期間で見た方が具体的な債権回収までの期間が
算出できるのでわかり易いかな、と思います。

おわりに

売掛金回転期間、売上債権回転期間は、すぐ算出できるので
決算時だけではなく毎月の月次の段階でも見ておいてもらいたい指標です。

資金繰りの良し悪しを確認するのに、これらの他にも指標があるので
後日ブログで書きます。

かなもと税理士事務所では、資金繰りついての無料相談を行って
おります。資金繰りについて不安を感じている事業者の方は相談して
いただければと思います。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

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