除却とは、現在残っている資産を廃棄することです。
この除却損を計上するには、廃棄業者からの廃棄証明書などの
書類、廃棄費用などの請求書・領収書、廃棄の稟議書・議事録などを
保存しとく必要があります。
法人税法上の除却損の取り扱い
除却損は法人税上は損失に該当します。損失の損金算入時期は、
除却(廃棄)した事業年度です。当期が令和1年7月1日から
令和2年6月30日だとしたら、その期間中に除却した資産の
帳簿価額を除却損として計上することとなります。
現状使ってはいないがまだ資産として所有しており帳簿価額が残っている、
今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる、
こういった資産の帳簿価額から処分経費をマイナスした金額を
除却損として損金計上は可能です。有姿除却と呼ばれています。
この有姿除却は原発を想像してもらえばわかり易いと思います。
原発事故で被災した固定資産は今後はもう使えない、廃棄するのにも
時間がかかる、なので有姿除却で損金計上する。
トラックなど車両の除却
トラックなど車両を廃車にした場合は、陸運局に廃車手続きを
した日が除却損を計上する日、となります。
3月末決算だとして、社内でトラックの廃車を決定したのが1月18日で
その日以降は使ってない、でも実際の廃車手続きが4月に行ったとしたら
4月が除却損を計上する時期となります。もう使わない・使ってないから、
という理由だけでは1月に除却損の計上はできません。使おうと思えば
使えるからです。
除却損の計上は、その資産の状況をよく把握しなければいけません。
電話加入権の除却
昔は電話加入権の取得に1回戦あたり7万円超のお金がかかり、
電話加入権を取得したら無形固定資産の電話加入権として
資産計上していた会社が多かったようです。その大昔の電話加入権が
貸借対照対照表の無形固定資産にまだ残っている会社が多々あります。
この電話加入権は減価償却しないので、解約しない限り取得価額が
貸借対照表に残ることとなります。解約した場合は、その取得価額を
除却損として損金計上することができます。単純に解約なら話は
それで済みますがNTTとの現在の契約をひかり電話に変更する場合が
あります(その方が料金が安いから)。この場合だと現在の権利は
休止扱いとなりその扱いは10年まで自動で延長されます。
10年の時点で再利用の手続きをしなければ権利は消滅し、その時点が
除却損を計上するタイミングとなります。ひかり電話に契約変更して
休止にしただけでは除却損の計上は認められません。ややこしいですね。
おわりに
会社の資産を見直し、もし使っていない資産があるのなら
除却を検討してください。除却は処分費用以外のお金の支出がないので
その資産の帳簿価額によっては有効な節税にもなり得ます。