税制改正とは、その名前の通り税制(税金の制度)を変えることをいいます。
税制とは、国や自治体が公共施設や行政サービスなどを維持・管理するために
税金を賦課・徴収する仕組みのことです。その賦課・徴収するための法律として
法人税法、所得税法などがあります。時代は当然変わるのでこの税制も時代に
あったものに変えていく必要があります。それが税制改正につながります。
税制改正を行うことにより、そのとき必要な歳入を確保していきます。
なお、日本では毎年1回税制改正が行われます。
税制改正の流れ
税制改正は、毎年3月末までに国会で税制改正法案が成立し4月1日から改正法案
が施行されます。流れは以下のとおりです。
・夏頃までに各省庁から「税制改正要望」が提出される
・12月頃に与党から「税制改正大綱」が発表される
・2月頃に与党から「税制改正法案」が国会に提出される
・3月末までに衆議院・参議院で審議され成立・交付される
・4月1日から改正法案が施行される
ざっくりですがこんな流れになります。
現在は11月なので各省庁から「税制改正要望」が提出され出揃っている状態
です。注目すべきは12月頃に発表される「税制改正大綱」ではないでしょうか。
「税制改正大綱」は税制改正法案の原案であり、これを基に法人税などの法律
が決められていくからです。ちなみに、大綱で発表されてもすべて法律になる
わけではありません。先送り、見直しがおこなわれるものも当然あります。
令和2年の税制改正要望
税制改正要望現在は、「税制改正要望」が出揃っている段階ですが、要望だけ
ではなく廃止縮減項目もあります。令和2年度は要望項目数141、廃止縮減項目
数2(重複排除ベース)です。ここ5年は要望項目数は150前後といったところ
です。内容は
・連結納税制度の見直し
・試験研究を行なった場合の法人税額等の特別控除の拡充
・NISAの恒常化等
・上場株式等の相続税に係る見直し
・5G投資促進税の創設
・オリンピック・パラリンピックメダリストに対する金品の非課税措置の拡充
・交際費課税の特例措置の延長
などがあります。この「税制改正要望」は財務省のホームページで閲覧できますのでご興味があれば見てみてください。リンクを貼っときます。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2020/request/index.htm
おわりに
令和2年の税制改正要望で個人的に注目しているのは、連結納税制度の見直し
です。内容は、連結グループへの加入時の時価評価課税や繰越欠損金切り捨て
の対象を縮小するなどの見直しです。連結納税を導入する会社は大企業が
多いと思うので大企業優遇はまだ続くのかな、と思ってしまいます。