日々の経理、現金主義ではなく発生主義で処理をした方がいい

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日々の経理、入金時・支払時に処理(現金主義)されている方も
いらっしゃると思いますが、税務上は申告するときには
最終的に発生主義により申告する期の売上・原価・費用を計上
しなければいけません。

発生主義、現金主義とは?

発生主義

発生主義とは一言でいうと権利が発生したときに収益費用を計上することです。

権利が発生するとは、例えば卸売業であれば商品を買手に引き渡したときに
売上のお金をもらえる権利が発生する、サービス業であればサービスが
全て終了したときに売上のお金がもらえる権利が発生する、ということです。


実際の仕訳処理で見て行きましょう。
9/8に10,000円の商品を引き渡し、その売上代金の入金が10/10だったとします。

借  方金  額貸  方金  額
9/8売掛金10,000売 上10,000
10/10現金預金10,000売掛金10,000

9/8に商品を販売(引き渡し)をしたので売上のお金をもらえる権利が
発生したので、売掛金/売上、という仕訳になり、そのお金を10/10に
もらったので、現金預金/売掛金、となります。

この発生主義での経理、手間は増えるのですが、
毎月しっかり発生主義で経理をすると、毎月正しい損益の状況がわかるます。
下記の現金主義は、入金・支払いベースでの処理なので毎月の状況で考えると
正しい損益になっているとはいえません。

現金主義

現金主義とは売上であれば入金時に、支払いであれば支払い時に収益費用を
計上することです。


実際の仕訳処理で見ていきましょう。例は上記の発生主義の場合と同じです。
9/8に10,000円の商品を引き渡し、その売上代金の入金が10/10。

借  方金  額貸  方金  額
9/8仕訳なし
10/10現金預金10,000売 上10,000

売上金の入金時に処理をするので、9/8の商品販売時には、仕訳処理なし、
10/10にお金をもらったときに、現金預金/売上、という処理になります。

上記の発生主義と比べれと仕訳が1つ少なくなります。
この現金主義により経理することによる最大のメリットは楽、という
ことです。ただし楽なだけで色々なデメリットがあります。

現金主義により経理することのデメリット
・決算では発生主義で売上、原価、費用を計上しなければならない
・月次段階で事業の損益が正しくない
・売掛金、買掛金などの債権債務の管理ができない
・原価がある業種では粗利が正しい金額ではない   などなど

税金を計算する上では

法人(会社など)の場合は利益に法人税が、フリーランスなどの
個人事業主は所得に所得税が課されます。
これらの税金を計算するに当たっては現金主義は認めらていない
(例外で下記の個人事業主の現金主義特例もあります)ので
発生主義で処理する必要があります。

例えば12月決算の会社で、12月の売上が10,000円でその入金が翌期の
1月だったとします。発生主義で経理すれば12月にその10,000円は売上に
計上されているはずなので問題ありませんが、現金主義だとそれは
売上に計上されていないので、売上計上漏れとなり、税務調査で
見つかった場合は加算税などの罰金付きで追徴課税されてしまいます。

税調調査では、売上計上漏れがないか、は必ず見られます。

所得が少ない個人事業者は現金主義での処理も認められている

個人事業主(青色申告)限定なのですが、所得金額が少ない方に限り
現金主義による処理も認められています。

その要件は次の2つです。
・申告しようとする年の2年前の事業所得の金額及び不動産所得の金額
 (青色事業専従者給与の額を必要経費に算入しないで計算した額)
 の合計額が300万円以下であること
・青色申告による申告をしようとする年の3月15日(その年の1月16日以後
 に開業した人は開業の日から2か月以内)までに、税務署に「所得税の
 青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を
 提出していること

上記2つの要件を満たせば個人事業主に限り現金主義による処理もOKです。
ただ、青色申告特別控除65万円の適用はできず10万円控除になってしまい
ます。この特例を使っている人は少ないと思います。

おわりに

ご自身で経理している方で現状現金主義により経理している方は
売上を発生主義により処理することからはじめてみたらどうでしょうか。
売上計上を正しい時期に行い、その売上の売掛金がいつ入金になるのか、
それを把握するだけでも大きいと思います。
結局、お金があれば赤字でも事業は継続できますので、いつ売上て
そのお金がいつ入ってくるか把握をすることも重要です。

お問い合わせはこちらのフォームよりご連絡ください。

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